メルマガ『日本の名作を読みながら速読力を身に付ける』
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大分たまっていますが、4月6日〜4月29日の『人間失格』を読み終えました。
普段なら多分読まないであろうこの小説をテキストに速読訓練できたことに感謝。
【『人間失格』感想】
この物語は、ある人物の書いた手記の前後に作者のコメントをつけた形式となっています。
「あとがき」があるのに救われます。
この「あとがき」があることで、暗い気分が少しは薄められます。
しかし、やはりこの物語は暗いものです。
最初、人は拳骨を握ったまま微笑はできない、とかいう細やかな指摘があり、こういった感性、よく分かると思いながら読んでいました。
手記の筆者が不本意ながら道化を演じるという心理も、よく分かります。
太宰治の作品はこういった敏感な心情を細やかに描いているんだな、と思いながら読んでいると、手記の筆者がどんどん泥沼にはまっていき、恐ろしくなっていきます。
私は左脳の理性がものすごく強く、理性で行動を縛っています。
だから、悪いとは知りながら深みにはまっていく主人公の行動が非常にもどかしく、もったいないと思ってしまう。
まさに、理性による感想です。
名詞を男性・女性・中性でなく喜劇性と悲劇性に分ける遊びなど、実に機知に富んだアイディアも随所に見られる。
才能がありながらこんな風に失敗していく主人公はもったいない。
この主人公、一時期、マンガを描いて成功します。
この小説は、太宰治の自伝的小説とされていますが、太宰治もマンガを描いていたのだろうか。
太宰治にかぶれる、という表現があります。
若い多感な人がよく太宰にかぶれるそうです。
幸い私は、太宰治の小説を読むことはほとんどありませんでした。
夏目漱石や芥川龍之介は好きで、よく読みました。
確か芥川龍之介も自殺しました。
芥川龍之介が死の直前に書いた『河童』や『歯車』は、理性で必死に自分を制御しよう、という感覚が感じられます。
太宰治は、理性ではなく感情のまま行動しているという感じです。
私が太宰治ではなく芥川龍之介の方を好んで読んだのは、そういうところが感じられたからだと思います。
しかし、太宰治でも、ユーモアが感じられる小説は大好きです。
『パンドラの匣』『正義と微笑』『ろまん燈籠』は大好きです。
パンドラの匣 (新潮文庫)
探求 太宰治―「パンドラの匣」のルーツ 木村庄助日誌
他にも、猿が島や富嶽百景などもユーモアを感じます。
『走れメロス』もいい。
暗い傾向の小説を嫌悪し、避けてしまうのは、自分にもその傾向があり、いつまた引きずり込まれるか分からないからでしょう。
親は、子供に名作文学を読ませようとします。
私も父に『次郎物語』『西遊記』『三国志』などを買ってもらったことがあります。
しかし、自分が親の立場であって、中高生の子どもに『人間失格』を読ませようとするか。
微妙なところです。
この小説、若い頃読むより、社会に出てある程度社会を知ってから読んだ方が客観的に見られて良いのではないでしょうか。
社会に出る前に読めば、溺れてしまいそうな感じです。
私自身、心理的に不健康だった高校や大学時代にこれを読んでいれば、どんな恐ろしいことになっていたか。
ともかく今は、明るく元気の出る読み物を読んで元気にならないといけない。
しかし、普通なら絶対に読まないであろうこの小説を読む機会を与えてくれたこの速読メルマガに感謝。
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