3月9日の日曜喫茶室は初めてこの番組を録音してじっくりと聴いた。
テーマは「桜舞う春 路面電車が行く」。
テーマも興味深いのだが、それだけではわざわざ録音したりしない。ゲストに辻真先さんが登場したのである。
辻真先さんというと、私が中学生の頃、赤川次郎と並ぶ多作ユーモアミステリー作家だというイメージがあった(迷犬ルパンシリーズなど)。さらに、日本のTVやアニメの草創期の功労者でもある。あまりTVやラジオに登場したという記憶がないので、この方のお話を聞けるのは貴重なことだと思ったのである。
ちなみに、FMラジオの録音はトークマスター2で行っている。
http://yorodzu.seesaa.net/article/40332017.html
マスターのはかま満緒もゲストの池内紀も路面電車がお好きなようで、ゲストが登場されるまでに既に路面電車談義で盛り上がっていた。
そして辻さんの登場。辻真先さんはトラベルミステリーも書いているので鉄道マニアだということは知っていたが、路面電車と辻さんの組み合わせは意外だった。
辻さんの生まれた名古屋には6大都市の中で唯一路面電車がない都市で、それが残念だったとか、全国の時刻表を今でも覚えているとか。NHKのTV担当の一期生であるということで、TVやアニメの草創期の話で盛り上がる。
辻真先 このごろとこれから NHK−FM日曜喫茶室
http://2323.la.coocan.jp/sakusaku.skold/5_1.htm
辻さんには『電気紙芝居殺人事件』という作品がある。以前読んで、残念ながらほとんど忘れてしまったが、テレビ草創期の活気ある状況が生き生きと描かれており、その点については強烈に印象に残っている。
電気紙芝居殺人事件 (講談社文庫)
そしてもうお一方のゲスト・宇都宮浄人さんは、日本銀行に勤めるエコノミストだそうである。肩書きだけを見ると硬そうだが、路面電車に造詣が深く、愛情を持って接している。語り口も非常にソフトで、お話も興味深かった。
「路面電車ルネッサンス −LRTによるまちづくり− 」
http://www.urban.ne.jp/home/yaman/kouen34.htm
最近は世界的に都市計画の一環として路面電車が見直されていて、都市の空洞化を改善するのに一役を担っており、成功例も続々と現れているという。
日本でも、富山県で新たに富山ライトレールが創立され、成功しているという。
路面電車は路面電車単体での採算を見るのではなく、都市計画全体での採算を見るべきであり、路面電車がもたらす経済効果によって都市が活性化すれば、全体として採算が取れるという対局に立った考え方が必要だということである。
池内紀さんが、
「路面電車といえばノスタルジーなものと思っていたが、実は、未来につながるものだということが分かった。こんな大事なものを今まで簡単に廃止してきたから、今後は大切に復活していかなければならない」
というような意味のことを言っていた。(細かい表現の違いはあるが、大意として)
まさに私も路面電車はレトロだとかノスタルジーという方面から大好きなのであるが、今後は今後の都市計画に必要な最先端のツールだという認識も持たなくてはいけないと思った。
さて、今後の路面電車による都市計画の潮流として、LRT(Light Rail Transit)(軽量軌道交通)(次世代路面電車)(ライトレール)というのが言われている。
wikipedia:ライトレール
wikipedia:LRT
wikipedia:新交通システム
私が住んでいる堺市でも、堺市の広報にLRTの導入について色々書かれている。
堺市ホーム > 建築都市局 > 鉄軌道推進室
http://www.city.sakai.osaka.jp/city/info/_tetuki/index.html
魅力あふれる自由都市・堺 LRT(次世代型路面電車)で結ぶ東西鉄軌道
http://www.city.sakai.osaka.jp/renaissance/future/03.html
堺の次世代型路面電車 活性化へ出発進行
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/kikaku/010/1.htm
堺市東西鉄道構想(未成の鉄道路線を流浪する)
http://rurohsei.michikusa.jp/sakai-lrt-line1.html
この件について思ったのは、受験生が今ある参考書や問題集を活用していないのに新たに参考書や問題集に手を出すことである(実は私もそうだった)。
路面電車による都市計画に賛成な私も、いざ地元の堺市が導入するとなると、成果に疑問を抱かざるを得ない。
導入が予定されているルートは、自転車でわずか10分ほどの距離であり、シャトルバスも走っている。その気になればジョギングコースにもできる距離である。わざわざ道路を狭くして路面電車を引く必要性・必然性はあるのだろうか。
そもそも堺市には、南北に阪堺線が走り、大阪市とつながっている。大阪市から堺市に入った頃から利用客が激減し、数年前には堺市ルートの廃止さえ検討されることになった。
現在ある阪堺線ですらうまく活用できていないというのに、新たに路面電車を作っても活用できるものかどうか。
そもそもさかいLRT研究交流センターがある山之口商店街が寂れすぎである。
http://www.yamanokuchi.jp/
LRT東西線が開通すれば、シャッター通りとなった山之口商店街を活性化させることができるのかどうか。東西線が開通するまでに、まず自力で少しだけでもシャッターの数を減らしてもらいたいものである。
こんな風に思ってしまうのも、現在の堺市の政治状況が誉められたものではないからである。またいつものように市民不在の利権政治か、と思わされてしまう状況が常態化している。
まちをこわす「クルマ『中心』社会」まちをつくる「LRT」
様も、「仙台東西線計画」について疑問を書かれています。
http://www.machi-LRT.jp/
http://www.ic-net.or.jp/home/takaiken/index.htm
しかし何だかんだ言っても、路面電車が好きなことには変わりないのであるが。
現在存在する阪堺線の堺区間や南海バス(シャトルバス)(堺市ふれあいバス)を含めて、上からの箱物行政ではなく、市民の方からの街づくり計画が必要であろう。
堺のチンチン電車を愛する会
http://www.sakai-toshiseibi.or.jp/aisurukai/index.html
阪堺電車公式サイト http://www.hankai.co.jp/
↑辻さんの最新作(牧薩次名義)。
「僕の名前じゃ買ってくれなくても、マガジンハウスだから間違えて買ってくれるかもしれない」by辻真先
↑昨年復刊された。私が最初に読んだ辻さんの本でもある。
登場する時刻表は、辻さんの頭の中に記憶していたものだという。
妖伝・三国志―諸葛孔明の正体とは!? (カッパ・ノベルス)
孔明推理綺譚―幻説五丈原 (歴史ミステリーシリーズ)
↑辻真先ファンかつ三国志ファン(特に諸葛孔明ファン)ならば読んでおきたいところ。残念ながら私は未読。
■[堺]チンチン電車紀行 阪堺電車
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20071117/p1
■[堺]ロッキー電車(阪堺線)
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20070327/p1
日曜喫茶室 公式サイト http://www.nhk.or.jp/kissa/
wikipedia:日曜喫茶室
まちをこわす「クルマ『中心』社会」まちをつくる「LRT」
http://www.machi-LRT.jp/
http://www.ic-net.or.jp/home/takaiken/index.htm
路面電車とLRTを考える館 http://www.urban.ne.jp/home/yaman/index.htm
wikipedia:富山ライトレール
wikipedia:富山ライトレール富山港線
富山ライトレール http://www.t-lr.co.jp/
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