野の医者は笑う: 心の治療とは何か?
「野の医者」とは、国家資格を持った医師ではなく、民間で心や身体のヒーリングを行っている方々。
沖縄にはそのような方々が多いらしい。
沖縄の病院で勤務していた臨床心理士の著者(京大大学院出身)はトヨタ財団の研究助成プログラムに採用され、野の医者の体験取材・フィールドワークを開始する!
「相対化です!」
とイインチョーが目を見開いて叫びました。
「権威や制度になっているものを相対化しようとしているんですね。そうやって当たり前の価値を揺らがせようとしているわけです。それは確かに新しい価値を生もうとする学問的行為です」
華々しく始まったのはいいですが、著者自身にも人生の危機が訪れる!
勤務していた病院を辞職することになり、求職活動も行う羽目に。
本書では野の医者の体験レポートと著者の求職活動がハイテンションの同時進行で描かれています。
「時代は笑える学術書です!アカデミックとコミカルを掛け合わせたアカデコミカル・ノンフィクション、これですよ!一山当ててやろうじゃありませんか!」
と編集者に宣言したようですが、確かにその目論見は成功しているようです。
予想外のことに著者の求職活動の要素も加わり、エンタメサスペンスの要素も加わっています。
野の医者の怪しげな治療を面白おかしく描写する一方で、学術的に鋭い考察も行われていて、返す刀で著者が拠って(依って)立つ臨床心理士という立場を考えるという。笑うところは笑って押さえるところは押さえています。
そして最後はほろりとさせる。まるで映画のようです。
しかし映画がハッピーエンドで終わったとしても、登場人物はそれで終わりではない。その後の人生を送らなければいけないのです。むしろそれからが始まりとも言えます。
幸い著者は立派に一冊の本を完成させ、安定した大学常勤講師の立場を得ることができました。
著者の創設したアカデコミカル・ノンフィクションというジャンルの続編を読んでみたい。
しかし本書のようなハイテンションで八方破れのような研究と文体は、ある種求職活動中の異常状態だったからこそ可能だったのではないかとも思えます。
研究も著書も一期一会な面があります。
本書は著者・東畑さんが沖縄で求職活動を行っていた時期だからこそ書けた唯一無二の書ではないでしょうか。
東畑開人@心理療法家の人類学 https://twitter.com/ktowhata
wikipedia:臨床心理士
放送大学で勉強中
【読書感想】 野の医者は笑う 心の治療とは何か? 東畑開人著
http://wakaba2015.hatenablog.com/entry/2016/10/10/140550
ランダム・マンダラ
「野の医者は笑う」(東畑開人著)
http://angiem.blog137.fc2.com/blog-entry-252.html
認知行動療法家は笑う〜第1部:認知行動療法とヒーリングは、何が同じで、何が違うのか?
https://cotree.jp/columns/877
ブクログ https://booklog.jp/item/1/4414400961
読書メーター https://bookmeter.com/books/9803365
本が好き! http://www.honzuki.jp/book/232372/
wikipedia:新井隆広
↑表紙&カット。高校の同級生らしい。
wikipedia:高野秀行 (ノンフィクション作家)
↑東畑さんは求職活動中、図書館で読んだお笑いの本で文章術を学んだという。特にこの方の本を読んだという。やはり読書は役に立つんですね。
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