- 作者: 箱崎幸也,作田英成,田村泰治,鈴木 元
- 出版社/メーカー: 日経メディカル開発
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 単行本
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見開き2ページで図表と簡単な説明文が記されている。
資料集とか講習会のテキストといったタイプの本。
I 被曝医療の基礎知識(P12〜P24)
I−1 自然界から受ける放射線
I−2 放射能と放射線
I−3 放射線の種類と透過力
I−4 放射線の単位
I−5 被曝の様式
I−6 被曝の人体への影響
II 放射線事故患者への対処(P26〜P46)
II−1 放射線事故患者ケアの概要
II−2 一般病院外来での被曝医療
II−3 症状・徴候からの被曝線量の推定
II−4 内部汚染の評価と除染
II−5 急性放射線症候群の診断・治療
III 過去の放射線事故の特性(対応と問題点)(P48〜P57)
III−1 放射線事故の種類と規模
III−2 チェルノブイリ原発事故
III−3 スリーマイル島原発事故
III−4 ゴイアニア被曝事故
III−5 東海村JCO臨界事故
IV 福島原発事故の概要と健康被害(P60〜P69)
IV−1 福島原発事故の概要
IV−2 放射線放出の広がり
IV−3 食品・環境での放射線暫定規制値
IV−4 放射線の影響を少なくする行動
V 放射線の中・長期的な影響(P72〜P79)
V−1 広島・長崎における原爆被曝後の影響
V−2 甲状腺がん、甲状腺疾患、奇形
V−3 白血病
V−4 少量被曝と発がんとの関係
II 放射線事故患者への対処(P26〜P46)
は興味深い。タイトルに「被曝医療」とうたっているだけある。
しかし、ここで対象となっているのは大規模な原子力関係の事故であり、低線量被曝・内部被曝といったものは対象となっていない。
例えば
「チェルノブイリ原発事故後に放出された放射性物質量は520万テラベクレルで、福島原発事故では77万TBqと推定されている。」(P60)
(放射性ヨウ素131の放射能暫定規制値について)
「かなり余裕のある上限値に設定されている。」
「いわゆる「安全側」に立った評価である。」(以上、P66)
だとか
http://f.hatena.ne.jp/nazegaku/20111130122557
ホルミシス理論肯定派に誘導するような記述があるように、今回の原発事故の被害を低く小さく見積もる方に誘導したいのだなと。
•1000〜2000mSv(1.8):喫煙・飲酒(毎日3合以上)
•200〜500mSv(1.19):肥満・運動不足・塩分過剰
•100〜200mSv(1.08):受動喫煙・野菜不足
池田信夫も引用している記述。
こんなのは詭弁・屁理屈・橋下徹が著書で書いているような議論で勝つための論法の類でしかない。
個人の努力や自由の範囲である喫煙や運動と誰でも否応なしに影響を受ける原発事故・放射線被曝を同列に扱うこと自体がおかしい。
こういう悪意ある屁理屈を掲載しているということで本書の執筆態度を厳しく見ざるを得なくなる。
この一点で本書が悪質なトンデモ科学・疑似科学・似非科学・マッドサイエンス・御用科学だと思われても仕方がないであろう。
■[日々の哲学]最も悪質なニセ科学 原発事故で考える
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20111108/p1
ホルミシス効果
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%B9%E5%8A%B9%E6%9E%9C
http://hiwihhi.com/ikedanob/status/116722892397490176
で池田信夫 が献本されてPRしているので胡散臭く感じます。
■[日々の哲学]池田信夫の行為は社会的な犯罪に近い
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20110607/p1
「本書は中立な立場の放射線医学の専門家が書いた一般向けのガイドブックで」
などと、全然中立的でない偏った池田信夫が書くとより一層胡散臭く感じます。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.amazon.co.jp/gp/product/4931400655
で、
「監修者の鈴木元先生は http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/pages/125.html で既にリスト入りしていたw」
という情報あり。
http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/pages/125.html
http://www47.atwiki.jp/goyo-gakusha/pages/455.html
まあそんな点もありますが、現在の医学会での最低限の最新コンセンサスが分かるという点で貴重な資料と言えるでしょう。
池田信夫 blog : 微量放射線は健康にいい? - ライブドアブログ ikedanobuo.livedoor.biz
http://b.hatena.ne.jp/entry/ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51745389.html
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