オリエント急行殺人事件（ネタバレ注意！）

オリエント急行殺人事件
　フジテレビ開局55周年特別企画
　　2015年1月11日・1月12日

　以下ネタバレ注意。超有名な基礎的教養ミステリーだからいいですよね？　
　勝呂武尊の声が古畑任三郎の背を低くして少し年寄らせたような感じだった。
　野村萬斎のビジュアルと合わないけど、地声なのだろうか。
　　
　雪かきしているのは特急東洋の乗務員さん方？結構大勢いますね。
　蒸気機関車だから色々な役目の方々がいるのでしょうか。
　雪の中の立往生、１等や２等はともかく、３等客の方々はきついでしょうね。
　３等客席の描写も見たかった。

　しかし、藤堂修（佐藤浩市）は絵に描いたような尊大な人間で、勝呂に捜査を断られます。
　普通、我々の住む社会では、どんな悪人でも表面上は取り繕っています。命を狙われて助けを乞う場合は痛々しくふるまうところです。それをしない藤堂は、ドラマの中の典型的な悪人なのです。
　　
　聞き込みの時点で既にほころびが。
　そもそも、藤堂修（佐藤浩市）の秘書や執事が捜査側でなく容疑者側にいるのが変です。
　藤堂に雇われていたという、勝呂の同業者である私立探偵の羽佐間才助（池松壮亮）が勝呂に協力するのでなく、容疑者側にいるというのも。普通なら捜査に協力するところです。
　それでも、中学の時に初めて原作を読んだ時は犯人の意外性に驚いたものです。
　
　２日目は犯人側のドラマ。
　わらしべ長者のように人がつながっていって大いなる作戦を実行する過程が面白かった。
　確かに、『オリエント急行殺人事件』は、原作には描かれていない犯人側のドラマも面白いですね。
　そういった点に注目して物語を仕立てた三谷幸喜さんはすごい。

　そういえば、長篇ミステリー小説の古い形は、事件・捜査パートと、それから遡った原因となる歴史小説
パートに分かれていたそうです。
　フランスの大衆小説に連載されたルコック探偵シリーズなどはまさにそれで、発表当時は歴史小説パートの方が人気があったそうです。
　
■[名作文学]世界推理小説大系第２巻　ガボリオ　永井郁・訳　東都書房
　　 http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120131/p1

　
　コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズの４つの長篇のうち３作品も歴史小説パートがありますね。
　
　野村萬斎の勝呂武尊シリーズ、また見たいものです。
　さらに、三谷幸喜版『そして誰もいなくなった』も見たい気がします。

　以下、ちょっとした突っ込み。

　下関駅で乗車する前、犯人様御一行が控えていた場所はどこなんでしょう？部外者が来ない隠れ場所？倉庫のような所でしたが、事前に見つけていたのでしょうか？
　後から追いかけてきた安藤伯爵夫人（杏）は何でこの場所を知っていたのでしょうか。

　
　藤堂の隣の部屋が鉄道省の役人に抑えられていた件について、能登巌大佐（沢村一樹）は、当日睡眠薬を飲んでもらうようなことを言ってましたが、結局、何の工作も行わなかったのでしょうか。

　藤堂の用心棒が後をつけてパインさん（山寺宏一）の喫茶店を襲撃。
　何で殺すかなあ。
　ここは拉致して拷問して敵対組織を割り出すところでしょう。
　敵対組織のアジトらしいから見張りもつけて。
　実際、その後も作戦会議に利用してますが、危なっかしくて仕方ない。
　しかし用心棒、目も記憶力もいいようだ。
　そういえば益田悦夫執事（小林隆）も一度顔をさらしているはずだから、執事に推薦するのは危ない賭けです。
　しかしパインさんお気の毒。

　藤堂の用心棒を列車に乗せない工作はかなり薄氷だと思います。
　また、藤堂は用心棒が間に合ったという幕内平太（二宮和也）秘書の説明を信じたようですが、命の危険を感じて乗り合わせた勝呂にボディーガードを頼むくらいなのだから、本当ならもっと用心棒にこだわるところです。
　秘書や執事が食堂車で食事しているのに、用心棒が食堂車に来ないのもおかしい。それとも、食事は別ということなのでしょうか。

　馬場舞子先生（松嶋菜々子）が「何で燃やすかなあ」と脅迫状にこだわっていました。
　藤堂が脅迫状を枕元に置いているということを、何で知ってるのでしょうか。
　幕内秘書や益田執事が把握した情報なのでしょうか。
　
　
　隣で時計を壊したり叫んだりしても目を覚まさないとは、睡眠薬とは、こんなに効き目あるのでしょうか。
　
　そもそも隣の部屋の勝呂は気付かなかったのでしょうか。
　犯行時刻には深く眠っているようにそれまで睡眠の邪魔をするという作戦ですが、神経が高ぶってかえって眠れなくなるという可能性もあると思うのですが。
　
　wikipedia:オリエント急行殺人事件 (2015年のテレビドラマ)
　wikipedia:オリエント急行の殺人
　 wikipedia:オリエント急行殺人事件 (1974年の映画)

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