薔薇への供物 (河出文庫)
薔薇に関する12のフェティッシュで耽美的で不思議な短編集。
中井英夫版・『夢十夜』であり『世にも奇妙な物語』。
巻末に「薔薇の自叙伝」という17ページにも渡る自作解説が収録されています。
これがまた氏独特の文体で味わい深いのです。
御本人は「ない方がよかったのにといわれそうな気がする」と書かれていました。
確かに、著者が解説するのは野暮だという意見もありますが、私は著者解説を読むのが好きです。
作品が描かれた背景について一番知っているのはやはり書いた本人ですから、本人が解説するのが一番ふさわしいと思います。
本短編集にも、「重い薔薇(「薔薇と柩と」改題)」「盲目の薔薇」「薔薇の獄 もしくは鳥の匂いのする少年」といった、著者の体験にまつわる作品が収録されています。
特に「重い薔薇」は不可解でよく分からない作品で、自分では読み解けないので解説がほしいところです。
これが本人以外による解説だと、どの辺まで真実に迫っているのか隔靴掻痒の場合もあります。
ところが、ご本人がこういう体験を基にして書いた、と種明かしされると、もやもやが一気に解決します。
もちろん、読む人によって解釈が色々違ってくるというのも文学作品の醍醐味です。
文学や芸術の世界では、著者自身の“模範解答”以外にも無限の“別解”が存在することが可能です。
ですから、著者本人も含め、色々な人と作品論を語り合えると楽しいですね。
この自作解説には著者の人生や他の作品への言及も色々とあるので、それに乗せられて他の作品ももっと読んでみたくなりました。
中井英夫というと、『虚無への供物』が代表作。
私は高校時代に一度読んだきりですが、近いうちに再読が必要だと思っております。
wikipedia:中井英夫
wikipedia:虚無への供物
wikipedia:式場精神病院火災
aestheticism 薔薇への供物 中井英夫
http://saku0304.blog8.fc2.com/blog-entry-18.html
天体観測 薔薇への供物
http://blog.livedoor.jp/m-32_75606/archives/1900398.html
日々の泡 『薔薇への供物』
http://blogs.yahoo.co.jp/mieletrose/32552452.html
薔薇の殺意〜虚無への供物 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-31868
■ 黄色い部屋の片隅で(ミステリ・アーカイヴ)
番外編(一) 『虚無への供物』TVドラマについて
http://homepage2.nifty.com/teiyu/journal/mura_0409_1.html
ブクログ http://booklog.jp/item/1/4309402720
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