十八時の音楽浴
優雅なタイトルですが、物語は独裁体制のアンチユートピアを描いています。
定期的に洗脳音楽を聴かされるとか国民はモニターで監視されているとか、オーウェル『1984年』(1949年刊行)を思わせる描写も。
物語開始早々、独裁政権に重要な役割を果たしているコハク博士がアキエもといアサリ大臣の陰謀によって粛清されてしまいます。
本作を海野十三が発表したのは昭和12年(1937年)。
盧溝橋事件が発生して本格的に日中戦争が始まる頃です。
(柳条湖事件・満州事変は1931年)
これ以降、言論統制が厳しくなって、本作品のような内容の小説は検閲に引っかかって発表できなかったでしょう。
ということは、近い将来に到来する日本の過酷な独裁体制とその崩壊を予言した作品です。
レジスタンスが独裁体制を打破する内容ならぜひともバイブルにしたいところですが、内容を見ると、あまりにもご都合主義過ぎる展開で、とても参考になりそうにありません。
コハク博士が余りにもスーパーマン過ぎたり、都合よく火星人の侵略が始まったり、それを簡単に撃退したり。
まるで子どもが見る夢みないな展開ですが、これは当時の一般的国民よりも多くの知識と想像力を持った知識人・海野十三が近い将来起こる歴史的悲劇を予言した“悪夢”でもあるのです。
そして本作品発表から80年。日本は、同じ過ちを繰り返そうとしているのです。
青空文庫 図書カード:No.865 十八時の音楽浴 海野十三
https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card865.html
https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/files/865_23818.html
『十八時の音楽浴』の作者の言葉
https://www.aozora.gr.jp/cards/000160/card43665.html
wikipedia:十八時の音楽浴
ブクログ
https://booklog.jp/item/7/000865
https://booklog.jp/item/1/B009IXMNJ6
https://booklog.jp/item/1/B009M8URE0
読書メーター
https://bookmeter.com/books/5595777
https://bookmeter.com/books/5747443
しんしんの雑記帳
【人間性って何】海野十三『十八時の音楽浴』を読んで
http://sample-bang.hatenablog.com/entry/2016/09/24/030337
フロンティア学院 海野十三『十八時の音楽浴』
http://frontier.hatenablog.jp/entry/2016/02/11/141457
■[速読読書]海野十三『海底都市』
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20050511/p1
■[速読読書]海野十三『三十年後の世界』
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20060212/p1
■[日々の冒険]海野十三『赤外線男』 帆村荘六は“戦前版探偵ガリレオ”か
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160813/p1
■[速読読書]『ネオン横丁殺人事件』海野十三・作〜帆村荘六はワープしたのか!?
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20080103/p1
■[速読読書]柿色の紙風船 ラジウム療法は痔に効くのか?
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20120218/p1
【アンケート実施中です!ご協力お願いします!】
(2018年7月調査)昨年より今年の方が暑いと
http://blog.with2.net/vote/v/?id=195648
↑人気blogランキングにご協力お願いします。m(_ _)m
↓また、ご意見ご感想・ブックマークなど頂けましたら励みになります。
コメントやリンク付きTBもお待ちしております。m(_ _)m