占いに関する七つの短編。
読んでいて何となく時代が古風なのでもしかして時代劇を読んでるのかと思ったのですが、日露戦争後という記述がありました。
しかし、女学校を出てから製薬会社に研究員として働いている女性が登場します。この時代に会社勤めの、しかも研究者の女性はいたのでしょうか?
それはともかく、収録された七つの短編の舞台や時代は近接しているようで、一度登場した人物が他の作品にゲスト出演しています。なかなか面白い趣向です。
【時追町の卜い家】
表札に「卜」と墨字でしたためられた一軒家。
この館には部屋が八つあって、交代で八卦見が控えているという。
恋に迷った翻訳家の桐子はここに通い詰めるが、なぜか次々と新たな八卦見が現れて一向に途切れない。
【山伏村の千里眼】
大叔母の家に下宿して喫茶店で働き始めた杣子には生まれつき特殊な能力があった。
愚痴聞きをしていた大叔母に代わりを命じられたことをきっかけにその能力が開花。村の人の相談事に乗っているうちに「山伏村の千里眼」として評判となり、多くの人が押し掛けることになる……。
【頓田町の聞奇館】
口寄せ・聞奇館。かつて看板を出して活躍していたお婆さんは今では息子の家に居候し二階でひっそりと口寄せをしているのであった。
英語の先生のおじいさんの遺影が気になった和枝が訪れた。そこで和枝は驚くべき現象を目撃するのであった!!
【深山町の双六堂】
自分の家庭と他の家庭のランク付けが気になり始めた政子は各家庭のランキングを付け始める。そのランキングが隠れた話題となり、遠くの町から色々な人が訪ねて来る。やがてそれは近所の人の知るところとなり……。
【宵待祠の喰い師】
宵町祠の裏に佇む朽ちかけた平屋には「喰い師」が住んでいた。
彼に悩みや愚痴を話すと彼が引き受けて昇華してくれ、胸がスッとするという……。
【鷺行町の朝生屋】
鷺行町には遺影を描く画家がいた。写真以上にその人の生きた姿を映すと評判である。それだけではなく、あの世に行かずに魂が戻って来るとまで言われていたのである!!
【北聖町の読心術】
都と名乗る読心術師。ある雑誌の読心術の名鑑定士特集に載っていた。佐代が手紙を出すと喫茶店での待ち合わせを指定された。
【頓田町の聞奇館】に登場する口寄せのお婆さんは本当の能力者のようです。見事に夫婦の霊を呼び出します。話は整合性が取れています。そしてそれは理想的な夫婦関係です。
ここに登場する本草学者の先生は牧野富太郎先生がモデルなのでしょうか?それとも、南方熊楠先生?
【深山町の双六堂】は、厳密には占い師の話ではありません。単なるうわさ好きの主婦の話です。
何だか落語みたいな展開になっていきます。おもしろうて、やがて悲しくなるお話であります。
落語のようにオチを付けて終わりにする結末もあり得たのでしょうが、本短編集はエンタメ寄りではなく純文学寄りなので最後に考えさせる結末で終わります。
【宵待祠の喰い師】では、この方に悩みを話すと悩みが軽くなります。一体どんな仕組みなのでしょうか。ちょっと非現実的な設定です。しかし物語は現実的に終わります。
【鷺行町の朝生屋】これは、いい話です。書き方によっては感動的ないい話になったはずです。しかしホラー的な怖い話に仕上がっています。
【北聖町の読心術】これは最後にあの方が再登場して感動的に終わります。本作品が最後に置かれていて救われた気がします。
本作品集には占いに翻弄される方々が登場します。占いは伝え方次第で他人様の運命を左右しかねないこともあるので要注意です。私も趣味で算命学や周易を学んでいるのですが、言葉には注意しないといけないと自戒しています。ただし私には霊感がないので、学んだ知識を使っての占いはできるのですが、本書に登場するような霊感の占いはできません。霊感占いができる人をうらやましく思います。(ただ、霊感占いをすることも大変だということが描かれています。)
それにしても本書の舞台は山麓の小さな町のようですが、有能な占い師やら霊能者が大勢輩出しているようです。(もしかしたらこの時代は今より占いが身近だったのかもしれません。)
私も山の中の村に生まれたのですが、身近に占い師なんていませんでした。そもそも占い師なんて私の感覚では、TVに出てくる特別な人であり、霊能力者や魔法使いと同類であって、身近なその辺に滅多にいるものではないと思っていたのです。大学も地方の大学だったのでその周辺には占い屋なんてありませんでした。天王寺や梅田で書店や古本屋を探すことはあったのですが、まさか占い屋なんてあるとは思いもしなかった。
私は中三になって精神を病んで引きこもりみたいになってしまったので世間が狭く、交友関係もなく外を出歩かなかったので占い屋が意識に入ってくることはなかったのです。
今、天王寺や梅田に行くと結構占い屋が目につきます。しかし精神を病んで視野が狭くなった当時の私には眼中に入らなかったようです。
精神科にも通いましたが待ち時間だけは長いのに薬を出すだけで何の役にも立ちませんでした。
この症状は私の性格や考え方の偏りにも原因があったように思います。
今思えば占い、特に周易やタロットなどの卜占を受けていればもしかして適切なアドバイスをもらって改善できていたかもと思うのです。
占いは依存してはいけませんが、適切に活用すればいいアドバイザーとなると思うのです。
もちろんそれだけの人生経験や思慮は必要ですが。
●ブクログ https://booklog.jp/item/1/4101018820
●読書メーター https://bookmeter.com/books/20678255
本書の中の言葉を用いて
あなたの運勢を占います
『占』占い
https://twitter.com/shinchosha_pr/status/1210096590108577792
[wikipedia:木内昇]
公式サイト https://note.com/nobori_kiuchi/
平松 洋子による書評
ALL REVIEWS #書評
https://allreviews.jp/review/4391
万年週末占い研究青年の覚え書き
タロット・セラピー 占い師の認定模擬試験としても
https://yorodzu.seesaa.net/article/414545217.html
タロット物語 小アルカナから学ぶ成功哲学
https://yorodzu.seesaa.net/article/419800861.html
悩み相談、ときどき、謎解き? 日常の人間関係ミステリー
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20151202/p1
人生相談は真夜中のバーで 蒼井上鷹
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20140511/p1
万年週末占い研究青年の覚え書き
井形慶子【四人の占い師と編集者S失踪事件】
占い潜入捜査ドキュメントエンタメミステリー!
https://iching.seesaa.net/article/498153242.html
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