- 作者: 中谷彰宏,鷲田小彌太
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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最後に言いにくいのですが、少々の苦言を呈しておきます。
「ほめられると
間違った方向へ進むことになる。」
で、鷲田氏の言葉が紹介されている。
「芥川が小説を書いた一番の動機は、漱石にほめられたことです。あれは間違ってほめられた。中谷さんもこれから経験すると思うけれども、あまり年とってから若い人をおだててはいけない。漱石の書いた巻紙は今や国宝級ですよ」
最後の一文が何で入っているのか分からない。このように時に流れを断ち切るような文章があるというのも本書を読みにくくしている一因だろう。
そして、この項目の結論「21世紀勉強法その38」が、
「下手に
ほめられないようにしよう。」
しかし、誉めちゃいけないと言う鷲田氏も、下手にほめられないようにしようと書いている中谷氏も、本書ではそれと矛盾するような言動をしている。この首尾一貫しないところがまた本書を読みにくくしているのだろう。
「哲学とは、
ブランドをつくることなのだ。」
の冒頭はこうである。
「日本で一番言葉を使うのがうまかったのは、僕たちの上の世代では清水幾太郎さん。若い時はすごかった。中谷さんは俗っぽく言えば中谷哲学というか、普通に言えば中谷ブランド。そのほうがいいな」
「新しいことを考える人は、
すべて思想家である。」
で鷲田氏は大前研一や長谷川慶太郎などと並べて、中谷氏を思想家と呼んでいる。
「中谷さんは広い意味での思想家になるね。ケインズが思想家である、と思われているような意味での思想家です。手塚治虫さんはマンガ家だけれども、思想家でもある。小林秀雄さんは文芸評論家でもあるけれども、思想家ですよ」
そしてこの項の最後に挙げられた「21世紀勉強法 その48」が、
『21世紀の思想家』として、
歴史に名を残そう。
今回、著名人の語録というか、対談をして相手の言葉を紹介しながら自分の考えを述べる、という新しい形式を試みた中谷氏。しかし、少々筆が滑りすぎたとの印象があります。
一つには、前々回に指摘したように、中谷氏の考えと相手の言葉の境界が分かりにくいこと。普通に対談の形式で記述されている方が読みやすいのではないかと思いました。
また、著名な哲学者である鷲田氏に誉められて舞い上がったのか、自分の著書を広い意味での倫理学だとかリベラルアーツだとか広範な知識を持てるとか書いているのが鼻につきます。お互いにあらかさまに誉め合っていては読んでいる方がしらけてしまいます。
特に、人生で一番学問や経験ができる高校・大学時代を心理的不調により棒に振ってしまったと後悔し、ルサンチマン精神あふれる私にとっては何を偉ぶって、という風に思ってしまうのです。
しかしあらさがしや批判してばかりでは進歩がないので、中谷氏の勉強欲を見習って1日に少しずつでも勉強し、少しずつでも進歩して、自慢話を読んでも嫉妬心を起こさないほどの確固とした自分を作らねばならない、と思い直したりしているのです。
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