OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

第41回「観柳斎、転落」(10/17)〜許されて死す

 新選組の活躍が認められ、ついに幕府直参の身分が許される。農民出身の近藤達が実力で武士となったのである。
 近藤局長、土方副長に次ぐ出世をしたのが、武田観柳斎八嶋智人)。
 隊士の中からあまりにも不満が出るため、近藤局長も、武田に少し遠慮してもらえないかと頼まざるを得ない。
 武田は怒って、それなら全てを返上する、とタンカを切って出て行く。(⇒⇒)
 番組中でも説明されていたが、現場を知らない会津藩はこの評定を、役職のみで決めた。
 そのため、局長・副長に次ぐ役職である軍師の評価が上がるのは当然。
 残念なのは、観柳斎に実力が伴っておらず、隊士からの評判も良くないということだった。
 諸葛孔明のような、誰もが認める優秀な軍師ならば、誰からも文句は出なかっただろう。

 怒って部屋に戻ってきた観柳斎の所へ、4人の隊士がやって来る。彼らも不満があった。
 尊皇攘夷のために脱藩して新選組に入ったのに、幕府に取り立てられても嬉しくない。我らは近藤局長の出世に、利用されただけなのか、と。
 観柳斎は、それなら伊東甲子太郎谷原章介)の御陵衛士に入ったらよい、と安請け合いする。
 しかし、今後隊士の移動はできないという御陵衛士新選組の間の取り決めがあった。
 仲介してやる、と見栄を切っていた観柳斎は、逃げ帰る(無責任)。
 新選組を敵にしたくない伊東は、4人の入隊希望者を追い返す(冷たい)。
 行き場所を失った4人が切腹したことを知り、観柳斎は隊を脱走する。
 この事件なども、御陵衛士独立の際、隊士全員に説明をし、どちらを選ぶか選択した後、以後の移動は禁止、ということにしていれば、すなわち、もっと明確に円満に別れていれば防げていたはず。
 同じ隊出身の2つの隊の間でこのような不幸な事件は防ぎたいところ。

 そして場面は、坂本龍馬江口洋介)の話に。
 幕府を武力で滅ぼす、と主張する西郷隆盛宇梶剛士)に、日本国内で争っていれば犠牲者も出るし、外国を喜ばせるだけ、と反対する龍馬。
 確かにそうだ、考えておこう、と譲歩する西郷。
 龍馬の鋭い観察眼。
「安心するのは早い。お前はまだあの男の本当の恐ろしさを知らない」
中岡慎太郎(増沢望)に言う。
 その頃西郷は、何やら物騒なことを言っていた。
「それにしてもあん男、だんだんと目障りになってきたなあ。よか気風の男じゃっどん、勿体無か。」

 歴史物語では、イメージ的に西郷隆盛は親しみ深い良い人として描かれることが多い。
 NHK大河ドラマ翔ぶが如く』でも、西田敏行が親しみやすい西郷どんを演じた。
 大仏次郎の『鞍馬天狗』シリーズでも、西郷はいい人として登場する。(近藤勇も悪人として描かれていないが)
 少し前に放映された『時空警察捜査一課PART4』では、龍馬暗殺の真相というのをやっていたが、そこでも西郷どんがお人好しな善玉として描かれる一方で、大久保利通が全ての悪を引き受けたように描かれていた。
 あたかも近藤と土方の役割分担と同じ図式で描かれている。
 しかしこの三谷版『新選組!』では、大久保利通保村大和)も出てくるが、あまり目立たない。どうやら今までの西郷ドンとは違うイメージの西郷が見られそうだ。

 京で漂泊生活を送っていた武田観柳斎も、ついに土方、沖田総司藤原竜也)によって捕らえられる。
「この期に及んでなおも説教ですか。早く切腹をお申し付け下さい。覚悟はすでにできております」
とうそぶく観柳斎。
「死んでいく者に説教などはしない。
 死をもって償うことだけが武士道ではない。
 生きることもまた、償いである。
 そうやすやすとは死なせん」
 21世紀になっても争いが絶えない今、死というものが軽くとらえられている今、私はこれは大河ドラマの枠を超えても名言だと思う。

 平隊士として一から出直すと誓った観柳斎。その夜、何かを持って部屋を抜け出す。後をつける沖田。
 実は観柳斎は、河合耆三郎の墓に供え物を持って行ったのである。このどんでん返し。ドラマ効果全開である。
(しかしこの論理でいけば、観柳斎は他にも、御陵衛士に移ろうとして切腹した4人の隊士の墓にも参らなければならないのだが。)

 沖田が帰ってからも墓を拝む観柳斎。後ろから新選組の若手数人が近づき、斬殺する。
「もうこんなことは止めにしたいものだ」
と言いながら観柳斎の顔に布をかぶせる近藤局長。隣で土方もうなづく。猛威をふるった法度も、いよいよ終わりになりそうだ。

 新選組についてはこのドラマが初めてである私にとって、史実の武田観柳斎については知らないが、この八嶋智人演じる観柳斎は、なかなか面白かった。
 コミカル調の三谷版『新選組!』にピッタリマッチするコミカルな観柳斎であった。ずるいんだが憎めない存在である。
 髪型や眼鏡や服装も良かった。
 私が『新選組!』キャラのコスプレをするとすれば、武田観柳斎か、浪士組上京の折、近藤勇の先番宿割の上司となった人物(名前失念)を選びたい。彼らの着ている和服は、他の人が着ている和服と違ってカラフルで豪華な感じがする。
 大部屋だけは勘弁してくれ、私は隊士から嫌われているので何をされるか分からない、と言う観柳斎。そこまで嫌われている観柳斎に、局長への不満を相談しに行った4人の隊士。こんな重大な問題を相談に来る隊士もいる。すぐに無責任な本性を現したが、ともかく観柳斎に相談に行く隊士もいたのである。実力は伴わなかったが、殺したいほど憎んでいたのは一部のはねっ返り連中だと思いたい。
 
 しかし三谷幸喜の脚本はうまい。憎み切れない憎まれ役を描きながら、最後にいい面を描くどんでん返し。死の直前にあのエピソードを入れることで、憎まれ役だったはずの観柳斎の死が悲しいものとなった。視聴者は汝を許すであろう。
 

……ということで、またまたクリックアンケートをお願いします。
 前回のアンケートは間もなく締め切りを迎えます。最終結果が出たところで発表します。
 今回、武田観柳斎についてのアンケートです。
 検索などで当書き込みに辿り着いた『新選組!』ファンの方、及び数少ない(いるのか?)私のブログの読者の皆様、及び何らかの手段で当書き込みに辿り着いた方のみの意見を伺うため、クリックアンケートマガジンに載らないクローズ形式のアンケートとします。
 投票、コメントお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
NHK大河ドラマ『新選組!』で出番を終えた武田観柳斎。この武田観柳斎について、脚本(三谷幸喜)、演技(八嶋智人)について、どう思いますか。
 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑  ↑ ↑ ↑ ↑
Powered By クリックアンケート