地下鉄専門のスリ・サムとクラドック探偵のコミカルなコント。
『ルパン三世』のルパンと銭形のとっつあんのコミカルなやり取りの部分を取り出したような作品。
一つの話は短いので隙間時間に気軽に読めます。
サムの同業者のような連中が何人かいて、ゲスト出演して対決したりします。
これだけ素材が揃っているのだから、色々な展開ができそうです。
実際、180篇に及ぶ作品が書き継がれたようです。
サムのスリの技術は神業で、尻ポケットに入った財布を本人に気付かれずに取り出して、中身だけ取り出して再び返却したりします。
また、ポケットの中で宝石をピーナッツの中に隠したりします。
こんなこと、本当にできるのでしょうか？
実際に自分がやられてみたり目撃したりしないととても信用できません。
訳者の乾信一郎さんはサムとクラドックの会話を江戸っ子のような文体で訳しています。これがまたはまっています。こういう翻訳の方法は評価されるべきです。
「訳者あとがき」で訳者の乾さんは、マッカレーについては調べても情報が少ない、と書かれています。
「マッカレーといえば何といっても、「地下鉄サム」がすぐに頭に浮ぶ。」
と書かれています。
確かに日本では戦前戦後にかけて「地下鉄サム」が人気だったようです。
最近は少々知名度が落ちてきているようなので、再評価が必要ですね。
手塚治虫の『太平洋Ｘポイント』の主人公はヒゲオヤジ演ずる「地下鉄サム」という名前でした。
この主人公と同じ名前のタイトルの作品だということで本書を購入したという、中学生時代の懐かしい読書体験。
当時は私が住んでいた山の中の田舎町からローカル鉄道で30分ほど遠出した地方都市の小さな書店でも創元推理文庫の主要な在庫在り既刊書が入手できたのです。
●ブクログ https://booklog.jp/item/1/B000JAS61G
●読書メーター https://bookmeter.com/books/290517
[wikipedia:ジョンストン・マッカレー]
[wikipedia:乾信一郎]
アガサーチ
地下鉄サム(Thub-Way Tham)
https://www.aga-search.com/detective/thub_way_tham/
ameqlist 翻訳作品集成(Japanese Translation List)
ジョンストン・マッカレー
https://ameqlist.com/sfm/mcculley.htm
復刊ドットコム 投票ページ
『地下鉄サム 全４巻（ジョンストン・マッカレー著 坂本義雄、乾信一郎（訳） 松野一夫（絵））』
https://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=27158
odd_hatchの読書ノート
Ｊ・マッカレー「地下鉄サム」（創元推理文庫）
1920年代のアメリカ大衆文化の物語を同時期のこの国の貧乏インテリやサラリーマンは愛した。
https://odd-hatch.hatenablog.jp/entry/20121228/1356649674
川の光日記
地下鉄サムの元ネタ発見
http://kawanohikaridiary.blog.fc2.com/blog-entry-98.html
** vanish into the blue **
『快傑ゾロ』とその周辺
http://vit-blue-02.jugem.jp/?cid=12
ふたごの復讐 マッカレー ＴＯＭＯコミックス
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20170330/p1
パリの怪盗・黒い星
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20131219/p1
発掘！平塚武二訳【快傑ゾロ】は原作を超えていた！！
https://diletanto.hateblo.jp/entry/20060219/p1
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