OLDIES 三丁目のブログ

森羅万象・魑魅魍魎を楽しみ・考える不定期連載ウェブログです。本日ものんびり開店休業中。

のび太くんはいつ成長するのか

 SF Kidさんがウェブログ「SF Kidなウェブログ」で、『ドラえもん』について、
興味深い考察をしておられます。
http://blog.livedoor.jp/sfclub/archives/7518879.html
(⇒⇒)

ドラえもん』に描かれていた未来は何処へ?
 我々ドラえもん世代は、ドラえもんに描かれた未来世界を実現しなければならないでしょうか。
ドラえもん』をこそフィクションにしてはいけない。
ドラえもん』こそ、終末予言に対抗できる、日本人の潜在意識に刻まれた希望の書なのである! http://blog.livedoor.jp/sfclub/archives/7518879.html

ドラえもん』について考察してみるのも面白いことです。
 日本人にとって影響の大きい作品なので、色々な面から考察できます。

 私も以前、「ヒトはなぜ学問するのか」の掲示板に『三丁目の夕日』と対比して考察したことがあります。
 結構気に入っているコラムなので、ここで改めて再録してみます。

タイトル:のび太くんはいつ成長するのか
DATE:2003.12.14

1)『三丁目の夕日』を読んで成長のイメージトレーニングを

 西岸良平三丁目の夕日』を読んだ。
 いつ読んでもいいものです。
 こういう作風、好きです。
 昭和30年代の描写もいいですが、その他にも重要な点があります。

 このマンガに出てくる多くの登場人物は、貧しいながらもつつましく精一杯生きており、成長し、就職して恋をして結婚して次の世代にバトンタッチしていきます。
 ヒトの成長を仮想体験できるのです。

 大人の人が昔を懐かしんで読むのもいいですが、子どもや若い世代こそ読むべき作品ではないでしょうか。
 生きる勇気が湧いてきて、優しくなれる作品です。

2)『三丁目の夕日』と『ドラえもん

三丁目の夕日』と『ドラえもん』を比較するのも興味深いことです。

 確か大昔、この2つの作品のTVアニメが同時間帯に放映されていたことがありました。
三丁目の夕日』はすぐに放映中止になったので、視聴率的には完敗だったのではないでしょうか。
 何で視聴者層がかぶる超人気番組の裏にぶつけたのか不思議です。いい作品なのだから、時間帯を考えていれば、『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』級の人気番組になっていたかもしれないのに。

 私はもろ、『ドラえもん』世代です。私の子ども時代は、手塚治虫より、藤子不二雄の影響を大きく受けました。手塚治虫を読み出したのは、中学の頃からです。
 小学館の学年別雑誌やコロコロコミックで藤子作品を読んでいました。
 四次元ポケットから出てくる不思議な道具、机の中のタイムマシン、未来の描写など、『ドラえもん』には素晴らしい要素がたくさんあります。
 この不朽の名作の評価はいささかも揺るがないということをあらかじめ断った上で、ある一つの残念なことを指摘させて頂きます。

ドラえもん』の主人公は、全然成長せず、十年一日のごとく同じような失敗を繰り返しているのが不満なのです。
 のび太君は、永遠に成長できないピーターパンシンドロームなのです。

3)のび太くんはいつ成長するのか

 思えば、そもそもドラえもんが21世紀からやってきたのは、のび太くんが作った借金が膨大なため子孫が大変だったため、その歴史を変えるためにやって来たのでした。
 ところが、ドラえもんがやって来てからものび太くんはドラえもんの便利な道具に安直に頼り、使いこなせなくては失敗の繰り返しで、失敗から学ぶこともせずに全然成長しません。
 これではドラえもんが来た意味がありません。
 いや、ドラえもんがやって来て便利な道具に頼ってしまうから自分で成長する努力を忘れ、それが将来の借金につながったのでは、と思いたくなります。

 日本の子どもに人気のあるマンガの主人公が、ただ優しいだけが取り柄で努力せずに便利な道具に頼って失敗して失敗から学ばない。
 勉強もせず、スポーツもせず、得意なことを伸ばさず(確かあやとりと鉄砲ごっこが得意だったのでは?)自分のしたいことを追求せずに将来の目的意識もない。
 のび太くんのキャラクターは負のイメージトレーニングとなり、日本人の成長を阻み、永遠に自堕落な子どものままで成長しないという、呪いの作品ともいえます。

 もちろん、のび太くんが成長してしまっては、物語が終わってしまいます。『ドラえもん』はこのまま、『サザエさん』のように、半永久的に止まった時間のままで続いていくのでしょうか。
 作者の藤子・F・不二雄藤本弘)さんも亡くなっており、完結編のストーリーを勝手に作るわけにもいきません。

 小学館てんとう虫コミックス6巻の最後に、「さようならドラえもん」というエピソードがあります。子ども時代、非常に感動しました。他にもこの巻には『台風のフー子』というエピソードもあり、この第6巻はお気に入りでした。
 そろそろのび太くんを半永久的な子ども時代から解放し、成長させてあげて欲しいのですが。

 繰り返し断りますが、私は今でも『ドラえもん』は素晴らしい作品だと思うし、好きな作品です。決してこの名作を批判しているのではありません。
 私が関心のある、人間の成長という面から、こんなことも言えるのでは、ということを書いてみました。

 ご意見ご感想お待ちしております。
  
ドラえもんのいない世界で 「のび太」的=よおし!頑張るぞ やれる範囲で…
  http://www.chunichi.co.jp/hold/2007/ijime/list/200701/CK2007031302100395.html
ドラえもんがいるからのび太は成長しないんだと思う。
  http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212237082
ドラえもんに出てくる「のび太」は、太古の世界や宇宙空間、未来都市、海底都市、...
  http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1211701122