◆◇【少年少女世界の名作文学ブログ・完全版】◇◆
第17回配本 十五少年漂流記(検定も作っちゃいました)
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久しぶりに名作文学を読んでいたのですが、8月一杯かかってしまいました。
8月らしく『十五少年漂流記』です。
椎名誠さんの『十五少年漂流記』への旅 にちなみました。

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あと、ガンダムのネタ元となったという記事を見たことにもちなみます。
ガンダムの元ネタはあの名作小説だった!
http://www.222.co.jp/netnews/article.aspx?asn=19159
http://www.222.co.jp/netnews/article.aspx?ASN=19160
http://www.222.co.jp/netnews/article.aspx?asn=19161
おおっと、断っておきますが、私は世代的にはファーストガンダム世代の端くれですが、SFの好みは手塚治虫や『未来少年コナン』でガチガチに固まっていて、『ガンダム』はハードすぎてとっつきにくく、先入観からして駄目でした。ガンダム関係の話題は全然ついていけません。
また、少し前、桐野夏生さんが『東京島』を出し、その新聞広告のあらすじを読んで『十五少年』を思い出したこともあります。

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そんなわけで、この夏には絶対に『十五少年』を読み返さねば、と決意し、ようやく達成したわけであります。
この物語、今でもそうですが、私が子どもの頃に一番好きな物語でした。
確か小学生の頃、図書室で借りた小学館の少年少女世界名作文学全集 で借りたのが本格的に読んだ最初でしたが、夜寝る前に寝床でわくわくしながら読んでるんですね。それで、住居となった洞穴フレンチ・デンの拡張工事を行っているとき、岩の向こうから猛獣のうなり声が聞こえてくるあたりで、もし今この瞬間にでも地震や爆撃など突発的な事件が起こって続きが読めなくなったらどうしよう、と思いながら大慌てて少しでも早く読み、少しでも早くページをめくって続きを読もうと必死になっていた瞬間、今でも覚えています。幸せな子ども時代の読書の思い出です。
その後、当時唯一入手できた完訳版(朝倉剛・訳 太田大八・絵 福音館古典童話シリーズ)も入手して何度も読み返し、十五人の子ども達の名前も全部覚えているほどでした。



↑箱入りハードカバーの重厚なつくりでしたが、現在はソフトカバーの2分冊になっています。




↑その後、完訳版も何種類か登場しました。
私が小学生か中学生の頃、『フラッシュ・ゴードン』という映画が公開されてTVで盛んにCMが流れていましたが、私にとってゴードンといえば『十五少年』のゴードンでした。
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↑ブレイブ・ブリアンと組んでドランク・ドニファン一味をやっつけるお話です!?
フォーブスという世界的に著名な経済誌がありますが、私にとってフォーブスといえば、『十五少年』に登場する悪人で、後に改心して子ども達を守ろうとして死んでしまったフォーブスでした。



↑ウォルストン社から独立してから大きくなったらしい?
バクスターなんかも色々な会社や人名がありますが、私にとってバクスターといえば、『十五少年』に登場する器用でブリアン派の第一人者でもある少年でした。
今回改めて読み直してみて、出番の少ない下級生達の名前を一部忘れていたことに気付きました。再び忘れないよう、ここに書き出しておきます。
ゴードン(14歳)
ブリアン(13歳)
ドニファン(13歳)
バクスター(13歳)
クロッス(13歳)……ドニファン派
ウィルコックス(12歳)……ドニファン派
ウェップ(12歳)……ドニファン派
サービス(12歳)
ガーネット(12歳)
ジャック(11歳?)……ブリアンの弟
ジェンキンズ(9歳)
アイバースン(9歳)
ドール(8歳)
コスター(8歳)
十五少年漂流記検定
http://minna.cert.yahoo.co.jp/cgxfa/293345
↑どれだけ覚えていますか?何問正解するかやってみよう!
15人の少年達が漂着したチェアマン島は真ん中に大きな湖があり、川や森や洞穴など、少年達がサバイバル生活をするのに適した住みやすい島でした。子どもの頃、島の地理の描写をわくわくしながら読んだものです。
ところが今回改めて読み返してみて、島の地理に関する記述をともすれば読み飛ばしがちになっていることに気付きました。子どもの頃あんなに興味深く読んでいたのに。
となれば、子どもにとって無人島とは、自分の能力を象徴するものではと思い付きました。
無人島に漂流した、この島にはどんな資源があり、どのような可能性があるのか。どう活用すればうまく住むことができるのか。
これは、自分の持っている能力を把握しきれず、活用の方法も手探り状態で、しかし未来が開けている子どもの能力についても同じことが言えます。
子ども達の能力には、泉があり川があり、森があり、植物が茂り、動物も住んでいるといえます。これらの資源を活用することで、今後の人生を開いて行くことができるわけではないでしょうか。
或いは、無人島やそこでの生活が、自分の前に開けている自分の未来を象徴しているともいえます。
ともかく、そのようなことを無意識にでも感じていたので、子ども時代の私は無人島での生活について夢中になってむさぼり読んでいたのではないでしょうか。
それに対して人生の半ばを迎えるようになった今、自分の能力は未知の無人島どころか何度も調査し、大した資源もなく、わずかばかりの資源は乱開発され、荒廃し、限界を感じているような気分ではないでしょうか。
人生に対しても色々と努力した割には見当違いの苦労ばかりで得るものがほとんどなかった、というような心境。
無為の人生を送って境遇が転落した今、少年達の無人島開発に対して、子ども時代ほどの関心を持つことがなかったのも無理はありません。
しかし読んでいるうちに、子ども時代の可能性に満ちた若い冒険心を少しづつ思い出してきました。精神の若返りは思わぬところで得られるものです。
さて、無人島で共同生活を始めた15人の少年達ですが、それでもやはり派閥争いというものが出てきます。
勇敢で親切で人気のあるブリアンに対して嫉妬するドニファンが派閥を率いて何かと反発します。
15人の中で最上級生で年上で中心人物と目されるのがこのブリアン、ドニファンとゴードンの3人。
冷静沈着なゴードンが仲の悪い二人の上や間に入ってとりなし、何とかうまく回っています。
子ども達の間では、ブリアンへの支持が圧倒的で、ドニファンを応援しているのはドニファン派閥のウィルコックス、ウェップ、クロッスの3人に留まり、一向に増えません。
読んでみるとその理由は明らかで、ブリアンの行動は皆、仲間全員のことを考え、将来を見据えた展望から出たものばかりですが、ドニファンの行動原理は、ブリアン憎しだけしか感じられません。仲間のことや将来の展望など、真面目に考えているようにはとても思えません。
そんなことが感じられるので、下級生達にはドニファンは全然人気がありません。
そのことを知ってか知らずか、任期が切れたゴードンの次の代表者を決める選挙では、ブリアンに勝って自分が次期代表者になろうとしているのだから、ドニファンの読みは甘すぎます。普通ならば下級生達に対して人気取りの行動をするのでしょうが、それすらせず将来の展望もなく、それでブリアンに勝とうと思っているのだから。
仲の悪いブリアンとドニファンとをとりなす役目のゴードンも、完全中立というわけではなく、明らかにブリアンの友人であり、ブリアンの良き相談相手であり、ブリアンの肩を持っています。
ところがブリアンと一緒になってドニファンを責めるのではなく、二人の上や間に入って決定的な亀裂が入らないようにうまくとりなしています。この辺の駆け引きが非常に面白い。14歳の少年でありながら、なかなか老獪であります。
このように共同生活を乱すドニファン派の存在も、3人のトップの良きバランス関係や下級生達がブリアン支持でまとまったことで、秩序の崩壊には至りません。19世紀後半(1888年)に描かれた良家の子女向けの名作文学らしい展開です。秩序と良識の勝利ですな。安心して読めます。
現代の小説は露悪的となり、悪を描くことが多くなっています。だから無人島で殺人ゲームをしたり、女王が君臨したりするような展開になってしまいます。
1954年に出版された『蝿の王』もそのような展開です。
未来の大戦中、疎開に向かう少年達を乗せた飛行機が墜落し、少年達は南太平洋の無人島に置き去りにされる。この状況設定はジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』やロバート・バランタインの『珊瑚礁の島』など19世紀以前に流行した「孤島漂着もの」のパロディであるが、本作はこれらの作品とは正反対の悲劇的な展開となっている。
wikipedia:蝿の王
『蝿の王』は一度読んだことがあります。非常に重苦しい展開で、あまり再読したくない気分です。
しかし理性と良識の『十五少年』の世界と秩序崩壊の『蝿の王』の世界を比べた場合、現実には後者のような展開になるのではと思ったりします。『十五少年』がファンタジーの世界で、『蝿の王』が現実的な展開といえましょうか。
しかし現実に受け入れられず、ファンタジーの世界に逃避する傾向のある私は、圧倒的に『十五少年』のような理性と良識が勝利する物語が好きです。
検索で調べると、『蝿の王』で秩序破壊を行う少年の名前が“ジャック”だそうです。以前読んだ時には気付かなかったのですが、これはブリアンの弟の名前です。やはりこの名前はブリアンの弟・ジャックから来ているのでしょうか。『蝿の王』もいずれは再読しないといけないと思う次第であります。
↑同じ訳者の同じ訳本が別々の文庫から出ているのだろうか?
ベルヌの『十五少年漂流記』と、ゴールディングの『蝿の王』、〜(以下略)
http://q.hatena.ne.jp/1103466710
さて、本作品では勢力拡大に失敗して後にブリアンと仲直りしたドニファンとその一味ですが、その中に注目に値する少年が一人います。ウィルコックスであります。
ドニファン派にはクロッスという、ドニファンと同年齢(13歳)でありドニファンやゴードンやブリアンと同じ最高学年生でもある少年がいます。普通ならゴードンやブリアンと並んで少年達の中心人物となってもおかしくはない存在ですが、なぜかあまり存在感がありません。
代わりに、ドニファンより1歳年下で学年も1つ下というウィルコックスが結構活躍しています。
作者のヴェルヌもウィルコックスがお気に入りだったのか、とにかく色々な出来事や事件で
「ウィルコックスが〜した」
「ウィルコックスが〜と言った」
というような描写が頻出します。
しかもウィルコックスの発言や行動はなかなか的を得て的確で、役に立つことが多いのです。
わなを仕掛けたりウサギをいぶしたり、計略も巧みです。
NHK大河ドラマ『新選組!』に例えると、ドニファンが芹沢鴨(佐藤浩市)だとすると、ウィルコックスが新見錦(相島一之)ではないでしょうか。
一方、ブリアン派の代表格としては、バクスターがいます。
彼はブリアンやドニファンとは1歳年下の13歳ですが、学年は同じで最高学年生であります。
性格的には縁の下の力持ちタイプであまり出しゃばったりしないのですが、実務的な面で非常に活躍しています。
湖からフレンチ・デンまで水道管を引いたり歯車から車輪を作って車を作ったり、大工仕事や技術的な仕事では第一人者であります。
彼の仕事があったからこそ、島での少年達の生活がかなり向上したといえるでしょう。
子どもの頃読んだ時はこのような地味なバクスターの活躍はあまり印象には残らなかったのですが、今読んでみると、非常に共感するのです。
とまあこのように、個性豊かな10歳前後の少年達が自分の特色を生かして協力して無人島での共同生活を行うわけです。
この無人島、森や水には恵まれていますがただ一つ、気候が厳しい。高緯度にあるらしく、冬の寒さが半端ではありません。氷点下30度近くまで下がり、手が金属に触るとやけどのようになり、息が凍るというのですから。アザラシやペンギンまで住んで夏には白夜となるのだから、かなり極地に近い位置にあります。
こんな寒さ、私は経験したことありません。関西地方ではこんな冬はありえません。東北地方や北海道ではこんな状態でしょうか?
冬には少年達は洞窟の中で閉じ込もりとなるのですが、引きこもりの傾向がある私は、かえってそんな生活が面白いと思い、冬の生活の描写が好きでした。しかし実際問題として、自分がそのような生活を行うのはとても耐えられそうにありません。
十五少年漂流記検定
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さて、物語中でヴェルヌはチェアマン島をハノーバー島(アノーヴェル島)だとしています。
しかしヴェルヌがチェアマン島のモデルとしたのは、チャタム島ではないかという説を、日本の田辺眞人教授が発表。『『十五少年漂流記』への旅 (新潮選書)』ではこの2つの島を調査しています。
この本については日本ジュール・ヴェルヌ研究会の掲示板で以下のようなやりとりがされていました。
http://otd7.jbbs.livedoor.jp/778088/bbs_tree?range=2&base=1533#1533
さて、孤島での共同生活の現実的な問題として、風呂やトイレはどうしていたのでしょうか。特に冬なんかは困りそうです。
また、この年代の少年は、風邪を引いたり腹痛を起こしたり色々な病気になりがちですが、2年間無病息災というわけにはいかないでしょう。温かいものを食べて寝たらすぐ良くなったという記述があるのですが。最後の方で、コスターが命に関わるほどの重病で臥せったのが一番の危機でした。
あと、虫歯なんかどうでしょうか。虫歯が痛むと無人島では困ると思うのですが。まあこの頃は、砂糖をふんだんに使うわけではなかったので、虫歯になることも少なかったのかもしれません。あと、夜寝る前の歯磨きの習慣もあったのでしょうか。
【疑問点に突っ込みコーナー】
『十五少年漂流記』が不朽の名作ということは間違いないのですが、よく考えるとおかしな部分も。
椎名誠さんが調査しに行った舞台となった島のモデルについてはその最たるものです。その他にも、物語の進行上、疑問に思う部分も。
島に上陸したウォルストン一味との戦いについての展開が、その最たるものでしょう。そもそも14や13歳そこらを頭とした子ども達が殺人など何とも思っていない7人の悪人達と戦って勝つというのは無理がある展開です(今の14歳や13歳なら勝てるかもしれませんが)。
ウォルストンは仲間を二手に分け、エバンズ航海士や上級生達を外におびき出している間にフレンチ・デンに残った下級生達を襲撃するという、なかなか頭脳的な作戦を立てます。
エバンズ達の捜索隊は、森の中で三度も銃撃を受け、ブリアンやサーヴィスやエバンズが狙われます。幸い弾丸は当たらず、ギリギリ外れます。しかし射撃にも通じているはずの悪人達が隠れて狙っているのだから、普通は当たってもおかしくはないところです。
一方、煙の位置から見当をつけて発射したドニファンの弾丸はパイクに命中して射殺します。
ここら辺、うまくできすぎの展開です。
そしてフレンチ・デンに戻ってきた捜索隊が見たのは、ウォルストン達がジャックとコスターを捕まえてフレンチ・デンから出て行くところでした。バクスターやケートが洞穴の中から追いかけますが、突き飛ばされます。バクスターが銃を持って洞穴の入り口で見張りをしていたはずですが、悪人達はもう一つの入り口から押し入ったようです。何で入り口を二つとも固めていなかったのでしょうか。
計略によって洞窟に押し入った悪人達も、二人だけを人質にして出て行こうとしたことは、少年達にとって幸いでした。これがもし、洞窟を奪うという作戦でこられたら、犠牲者も一人や二人ですまなかったのではないでしょうか。
そしてジャックも、ピストルを持っていたのならば、なぜ最初から使わなかったのだろうか?
最初から飛び道具を使っていればけりは簡単につきます。ウルトラマンが最初からスペシウム光線を使ったり、水戸黄門が最初から印籠を出すようなもんです。
不意をつかれて使う間もなく捕まったとか、人を狙うのは初めてなので躊躇していた、という解釈もできますが。
それから、子ども達だけでマストの折れたボロボロのスクーナーを操って嵐の海を乗り切るというのもすごい。実質船を操縦している4人のうち、見習い水夫のモコはいいとして、ブリアンは見たことあるだけで、ゴードンとドニファンを含めて船を操縦したのはこれが初めて。なかなかできるもんではありません。私などは車の免許を取るだけでも補習を何回も受けて大変だったのに。
それから、アザラシから油を取る等、少年達の技術力はすごい。子ども離れしています。
こういったご都合的な展開を不思議に思わさずに進めて行くのがヴェルヌの筆力であり、この物語の素晴らしさでしょう。
【アニメ化について】
『十五少年漂流記』のアニメ化については、ウィキペディアには2作品記されています。
●1982年版
1982年8月22日に放送。東映動画、フジテレビ製作。
●1987年版
1987年10月19日に放送。日本アニメーション製作。正確なタイトルは「瞳のなかの少年 十五少年漂流記」。なお、2002年には「アニメ英会話 十五少年漂流記〜瞳のなかの少年〜」としてプレイステーション2でゲーム化された。
私が見たのは多分1982年版です。
ドニファンがワルぶってはいるが実はいい奴で、下級生もみんなそのことを認めていて、下級生の一人がそんな発言をするシーンには、徹頭徹尾親ブリアンで反ドニファン派だった私はのけぞりました。この設定はないだろうと。
しかし現代のマンガやドラマでは不良が実はいい奴だった、という設定はごく当たり前にある設定であり、確かにそうした方が受けがいいのでしょう。特にこのアニメ版のキャラクター原案は高橋留美子さんとあります。現代のマンガ界を代表する高橋留美子さんならば、そのような設定をするのもあり得ることです。
あと、1987年版は英語も学べるゲームソフトになったという。ゲームというより、英語学習というところに興味がある。大好きな『十五少年』で英語が学べるのなら見てみたい。今でも入手できて、しかも再生できるのだろうか?
アニメ英会話 十五少年漂流記
あと、アニメ化といえば、『まんが世界昔ばなし』で5回に渡って放送されたことがあります。
第4回の最後でブリアンがタコに乗って糸が切れて飛ばされたところで、第5回の放送を見逃して悔しかった。
(その他、アニメ関係記事)
「銀河漂流バイファム」 はベルヌの『十五少年漂流記』から設定を借りていると思います。
http://q.hatena.ne.jp/1106204489
wikipedia:恐竜冒険記ジュラトリッパー
http://jp.jade-voice.com/anime/1257/
wikipedia:無人惑星サヴァイヴ
wikipedia:無限のリヴァイアス
関心空間 「元ネタが十五少年漂流記」でつながるキーワード
http://www.kanshin.com/connect/65196
【日本での翻訳について】
1896年(明治29年)に森田思軒により博文館の雑誌「少年世界」で『冒険奇談 十五少年』として英訳本からの抄訳重訳して連載され、12月に『十五少年』として出版される。
『十五少年漂流記』というタイトルは森田思軒の娘下子の夫である白石実三により命名されたという。後に新潮社が子供向けに内容を簡略化した作品を『十五少年漂流記』というタイトルで1951年に出版し、昭和時代中頃には完全に定着した。
1968年に完訳版『二年間の休暇』(朝倉剛・訳/福音館書店)が出る。
※なお、旺文社文庫『十五少年漂流記』(金子博・訳)の巻末の解説において、この作品の翻訳史や作者ヴェルヌの人生について色々書かれている。『十五少年』のファンにとっては一読に値する。
十五少年 (岩波文庫)
森田思軒の翻訳は、英語版からの重訳であった。その後日本で紹介された『十五少年』は、森田訳をもとにした和文和訳であった。
そして日本で最初にフランス語の原書から翻訳したのは、石川湧であった。東京創元社の「世界少年少女文学全集」に収録された。ただし、完訳版ではなく、縮約版である。これは後に角川文庫に収録された(1958年)。

- 作者: ヴェルヌ,Jules Verne,石川湧
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- メディア: 文庫
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【今回読んだ版】
==*==*==*==*==*==*==*==* 書誌的事項 *==*==*==*==*==*==*==*==*==
◆少年少女世界の名作文学23(名作文学50巻版)フランス編5(1965年)
◇十五少年漂流記 石川湧(訳) 花岡大学(文) 柳柊二(絵)
◆少年少女世界の名作26(名作55巻版)フランス編7(1972年)
◇十五少年漂流記 花岡大学(文) 武部本一郎(絵)
◆カラー名作 少年少女世界の文学15(文学30巻版)(1969年)
◇十五少年漂流記 石川湧(訳) 花岡大学(文) 柳柊二(絵)
==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*==*
50巻版及び30巻版は、石川湧の底本を花岡大学が書き直したもののようです。文章は同じです。画家は同じですが、絵は新しく書き直しています。30巻版の挿絵の方がカラーだし大きいし動きがあるダイナミックな構図です。
一番新しい55巻版も、文章は基本的には50巻版や30巻版と同じなので、記述はありませんがやはり石川湧の翻訳が底本でしょう。しかし章の見出しが変わっており、内容も細かく読めば、旧版から削除された記述もあり、加筆された記述もあります。
分量としては、ほぼ同じ程度です。
総合的に見て、55巻版の方がこなれた感じになっています。
今回、これら2種類の翻訳を読み比べながら、フランスで一般的に流通している縮約版を翻訳したという旺文社文庫版(金子博・訳)も同時に読みました。
それにしても、石川湧に花岡大学のコンビとは、豪華です。
石川湧(1906〜1976)
花岡大学(1909〜1988)
花岡大学は、宮沢賢治や小川未明と並ぶ児童文学作家と言われています。
日本最初のフランス語版からの翻訳を児童文学の大家が書き直したという、非常に豪華な小学館版『十五少年』でした。
花岡大学については、小学1年か2年の時、国語の教科書に「子牛の話」というお話が載っていて、そのお話の作者の名前が人の名前というより大学の名前のようで、こんな名前の人もいるのかなあと非常に不思議に思ったので印象に残りました。「子牛の話」のあらすじなどは忘れてしまっても、その作者の名前だけはその後もずっと覚えていたという。
あと、堀口大學(堀口大学)という、これも著名なフランス文学者がおられます。
wikipedia:花岡大学
wikipedia:堀口大學
【http://meloh.net/e/rvwfg.html】
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wikipedia:十五少年漂流記
wikipedia:森田思軒
日本ジュール・ヴェルヌ研究会 http://julesverne.jpn.org/
十五少年 / 財団法人大阪国際児童文学館 子どもの本100選 1868年 ...
http://www.iiclo.or.jp/100books/1868/htm/frame014.htm
↑こんな素晴らしい資料を提供している施設を廃止とは!
文化の分からないバカエティ知事には困ったものだ。
松岡正剛の千夜千冊 第三百八十九夜【0389】2001年10月1日 ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0389.html
阿波勉強堂 Deux ans de Vacance Collection
http://www.aa-net.ne.jp/y-asahi/Y-asahiPrivatePage/Furuhon/Deux%20ans%20de%20Vacances/DAV%20top.html
リヴァイアさん、日々のわざ 「十五少年漂流記」の名訳はどれだろう?
http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2006/08/post_4982.html
ささめごと 「十五少年漂流記」
http://tamagosando.blog91.fc2.com/blog-entry-137.html
地味ログ東洋硬化.うろつき雑記 「十五少年漂流記」謎の島を行く、を観ました。
http://blog.goo.ne.jp/toyokoka0119/e/5b444b427fe07edba4e32bede7a049a4
文庫本大好き 岩波文庫コレクション 十五少年(森田思軒)
http://www.bunkomania.net/2005/01/post_369.html
その傍で本を読むのは 「イラスト図解 十五少年漂流記」
http://sobahon.jugem.jp/?eid=162
百町森通信 児童文学とその周辺
http://www.bookpickorchestra.com/blog/hyakucho/2007/05/post_3.html
読 々 享 楽 時 空 十五少年漂流記
http://asunaro.blog3.fc2.com/blog-entry-907.html
■[名作文学]イラスト図解 十五少年漂流記 (絵でみる世界の名作)
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20080915/p1
作品データベース 十五少年漂流記(小説)
http://www.accessup.org/jbook/7_Jyugo_20Shonen_20Hyouryuki/
SIMPLE GIFT ヴェルヌワールド
http://homepage2.nifty.com/Charles2/vwmain.htm
椎名誠の感動2万マイル!「十五少年漂流記」の謎の島を行く
http://www.tbs.co.jp/program/shiinamakoto_20050718.html
【編集後記】
『十五少年漂流記』を初めて読んだ頃、15人の少年達は同世代でした。
今ではこれくらいの年頃の子どもがいても不思議ではない世代となってしまいました。
それでも『十五少年漂流記』は私にとって永遠の愛読書であり続けるでしょう。
ところで、大阪府の橋下知事が大阪のテストの成績が悪いと言って下品なパフォーマンスを行っています。
大阪府立国際児童文学館の廃止を決定しておきながら何をかいわんやでしょう。
この知事は、名作文学を読まずに受験勉強とバラエティ番組だけで育って出世して権力を持つようになるとどんなオトナになるかといういいサンプルではないでしょうか。
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