将門(加藤剛)は国府にやって来た民人達を安心させる。
下野から来た兵達は、戦争の脅威をなくすために坂東一帯を治めることが必要だと提案。
いいタイミングで興世王(米倉斉加年)が登場し、板東八ヶ国の豪族に送る檄文とやらを読んでみせる。
その檄文は田原藤太(露口茂)にも届く……って、誰が届けたんですか?
藤太はこの檄文が届く前に那須に行ったということにして、将門側にも国府側にも与しないことにする。
これ、将門が常陸国府の藤原惟幾(横森久)・為憲(中島久之)親子に鹿島玄道(宍戸錠)の引き渡しを要求された時に興世王にアドバイスされて取ったのらくら引き伸ばし戦法に通じます。
藤太は将門と興世王を二人合わせたようなもんです。こういう人物が態度を示さず存在しているというのは将門にとって脅威です。
下野守国司・大中臣全行(林昭夫)から印鎰を受け取る。
興世王は将門軍の権威を示すために大中臣全行に対してかなり厳しく当たっていましたが、大中臣全行さんはかつて第29話で、将門に対して親切に尽くしてくれた方なので少し気の毒。あの時の誼でもう少し友好的に扱っても良かったのでは?
“風と雲と虹と 第29回 脅える都”
https://diletanto.hateblo.jp/entry/tairanomasakado29
上野も難なく平定。
その夜、早くも将門と興世王との間に将来の見通しについての違いが明らかとなる。
除目を行って組織を整えたい興世王に対し、そういう堅苦しい組織が嫌いな将門。
総社の巫女・小米(池波志乃)が神がかり、八幡大菩薩の言葉を伝える。
当時の人々はこういうシーンを見ると驚いたことでしょう。
神を名乗ったとしても邪神ということもあり得るので「審神者」というリテラシー判断が必要です。
こういうことで万能感を持ってしまって独裁的になり失敗する……というのはおとぎ話のパターンのように思います。
将門は軽々しく惑わされてはいないようですが、他の人の思惑というものもあります。
好事魔多しといいます。今後用心しないと……と、その後の歴史を知っていると分かるのですが、実際に当事者となるとなかなか難しいでしょう。
伊予では、将門に呼応して反乱を決心した藤原純友(緒形拳)が伊予守・紀淑人(細川俊之)を呼び出す。
反乱を決行してとりあえずうまくいったのですが、早くも将門陣営内に将来像・方向性に対する見通しの相違が表面化。
将門はじめ他の方々は今現在のことを考えるのに必死で将来のことを考える余裕はないのだと思います。
そして興世王だけが将来像のイメージを持っているのですが、他の方々から見ると先走りしているように見えます。
しかし、組織を維持していくためには興世王のように考える人も必要かと思います。
ここは将来像について議論してコンセンサスを取っておかなくてはなりません。
(そういえば『新選組!』では土方歳三(山本耕史)が組織図を作成することが好きで原田左之助(山本太郎)から「あんたも好きねえ」と言われていた。山本歳三は興世王のトリビュートか!?)
wikipedia:新選組!
まあ激動の渦中にいると現在の対処にやっとでそういうことを考える余裕もないのでしょうが、ここは大事なことではないでしょうか?
……と、ドラマの視聴者である私は上から目線で勝手なこと言っています。
こういうドラマを見て将来似たような境遇に陥った時にあわてないようにシミュレーションしておくことが大事なんですね。
とは言っても私には今後チャンスはあるのでしょうか?
そして、一応は坂東を平定したかのように見える将門軍ですが、他の坂東平氏はどうしているのでしょうか。
まず、坂東平氏の総家・国香(佐野浅夫)の後継ぎであり将門追討使である貞盛(山口崇)の軍団が無傷で存続しています。
国香の弟・良兼(長門勇)は亡くなりましたがその幼い後継ぎ達は健在です。
良正(蟹江敬三)も健在です。
そしてそれらの伯父叔父達の家は源氏と縁組みしています。
源氏の総家・源護(西村晃)は健在であるし、その息子達は将門との合戦で亡くなりましたが、護の娘達は平氏の嫁となっています。
これら坂東平氏と源氏は未だ将門の潜在的脅威として存続しているのではないでしょうか。
そして平氏の内紛で中立を守った良将(小林桂樹)はこの成り行きをどう思うのでしょうか。
機嫌を損じて将門の敵に回ることはないのでしょうか。
さらに、良将の家に避難していた将門の母 正子(新珠三千代)はどうなったのでしょうか。
人間の関係は網目のようにつながっているので、なかなか単純にはいきません。
少しの変化だと思っていても増幅されて影響が出ることもあります。
独立宣言の良いところで終わりにしたら気楽なところですが、最終回に向かってあとDVD1枚、観るのが辛いところですが、将門と共に駆け抜けたいと思います。
- 作者:海音寺 潮五郎
- メディア: 文庫
雑記帳
大河ドラマ『風と雲と虹と』第48回「坂東独立」
https://sicambre.at.webry.info/201006/article_18.html
戦国放題 こたつ城
「風と雲と虹と」8(47~52)
http://kotatu.jp/hyo/sakuhin/masakadozakki/47-52.htm
14風と雲と虹と76 過去ログ
『麒麟がくる』で考える社会と人生
毛利元就 過去ログ
新選組! 過去ログ
平清盛 過去ログ
wikipedia:風と雲と虹と
#平将門 #風と雲と虹と
ツタヤ
NHK大河ドラマ『平将門』『藤原純友』
http://sakai.areablog.jp/blog/1000026345/p10648332c.html
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