ひとまず本拠地へ退却した将門(加藤剛)達は軍議を開く。
もはやここには興世王(米倉斉加年)はいない。
軍事面の軍師というより、外交や内政面の参謀といったところか。
翌朝、出陣。
将門軍400に対して藤太・貞盛連合軍4000!!
騎馬隊・歩兵入り乱れての乱戦!複雑でどうなってるのか分からないくらい。
よく撮影できましたね。
この立派な鎧兜の武者は比較的よく映されていましたが、最後には後ろから刺されて殺されました。
一体どちらの軍に属する誰だったのでしょうか。
勝ち戦だった前半の合戦で三宅清忠(近藤洋介)が一足先に討ち死に。
将門軍の中で死を看取ってもらった唯一の人となりました。
(将門始め他の武将はあっという間の討ち死にです)
思えば三宅清忠は将門が京都の藤原忠平(仲谷昇)邸で働き始めた頃からの長いお付き合いでした。
しかし田原藤太(露口茂)は馬から降りず部下に弓矢で殺させるとはひどいんでねえの?
将門軍の奮戦により藤太軍の陣形が崩れ、退却!!
藤太が残兵を集めていると知った将門は休むことなく追撃戦を仕掛ける。
将門軍100に対し藤太軍300!!
将門軍が押していたが一瞬、風向きが変わる。
風向きを読んだ藤太軍が矢を射かける。
その時、藤原純友(緒形拳)と鹿島玄明(草刈正雄)は妙な胸騒ぎがした。
矢が刺さる。
回想シーンも未来の夢を見るシーンも最後の言葉を言い残す間もなく、ほぼ即死に近い状態だった。
将門の夢と理想があっけなく一瞬で終わったということを象徴する最後か。
その夜、石井の館は炎上した。
第35話の豊田炎上も辛かったけど、今回は本当の敗北なので本当に悲しい。
全員いなくなったけど、「ただ、あの方だけが……」
と登場したのは興世王。笑うところではないがちょっと面白いタイミングでの登場。
「わしは武者ではないが恥は知っている」
と舌を噛み切り自害。
この『風と雲と虹と』に限らず歴史上でも現代日本でも恥知らずが責任を取らずにのうのうと居座り続けているわけですが、この態度は潔い。
大河ドラマ『平清盛』で、保元の乱に敗れた藤原頼長(山本耕史)も舌を嚙み切って自害しました。
公家の自害は舌を噛み切るのが作法なのでしょうか。
しかし余程の力で噛まないと死ぬところまでいかない気がします。
クニの部屋 -北武蔵の風土記-
舌を噛み切った“藤原頼長”は自死したのか?
https://blog.goo.ne.jp/kuni-furutone118/e/118a12142511a18836d51f3fd9fdd0a5
将門の死を知った藤原純友(緒形拳)は引き上げることを決定。
しかしくらげ丸(清水紘治)と鮫(丹古母鬼馬二)は納得しない。
切りかかるくらげ丸と鮫の二人を素手で投げ捨てる純友。
純友は武道の達人か!?
しかし人が大勢集まると色々な考えを持つ者がいます。派閥争いも起こります。組織をまとめるのは大変ですね。
そしてくらげ丸は後に尼子国久として転生し、尼子経久に仕えるのであった。
純友についての資料は乏しく、その消息は定かでないという。
純友に関するシーンは瀬戸内海の明るい景色と勇壮な音楽で始まり、解放感ありました。
藤原純友のシーン中心にまとめた大河ドラマ総集編『藤原純友』を編集すれば、また違った楽しみができると思います。
将門の妻子を捕えよ、と命令する源経基(菅野忠彦)。ここまで憎々しい演技も見事だ。
源護(西村晃)と詮子(星由里子)がここへ来る途中、雷に撃たれて死亡したという知らせが来る。
思えば第一話では藤原時平が落雷で亡くなり、その直後に将門が生まれています。
それにしても源護の一族も坂東平氏の争いに介入したために大損害を受けました。
やはり穏便に平和に交渉するのが一番ですね。
良子(真野響子)と豊田丸は伊和員経(福田豊土)に連れられて東北に向かった。
その後の消息は知られないという。
「小次郎どのは死んではおらん。生きている」
「おばば。虹だ」
「シーッ」
「小次郎の殿の駒音じゃ」
将門は今もなお生き続けている。
昨年2月から見始めて1年3か月ほど見続けてきて、ついに最終回を見終わりました。
悲しい結末で辛いものです。
前半は将門と純友が2人の主人公のようになっていましたが、後半は将門と田原藤太の物語となっていました。
田原藤太は最大の敵役でもあるし、もう一人の主人公とも言えます。
田原藤太は思うところを言葉や態度には表さないタイプで、心の中でどう思っているのか想像するところに面白さがあります。
私も若い頃は単純で考えが浅かったので、若い頃に観ていたら田原藤太がよく分からなかったと思います。
ところが人間関係で色々失敗して色々反省した今見ると、藤太の複雑な心境が分かるような気がします。
あの状況で軽々しく発言して誤解されたり言質を取られたりしてはまずいことになります。
やはりあのように心の内を見せずにどっちつかずの態度でいるのが正しいのではと思ってしまいます。
藤太が将門を自分の若い頃のようだと言う場面があります。将門が民人に人気があることを羨むようなシーンもあります。
「若い頃は知らない。年を取ればできない」
というような言い回しを外国語学習の例文で読んだことあります。
将門と藤太が協力すれば良いコンビになっていたのではないでしょうか。
一度は刑に服した藤太が許されて地主となっているというのも面白い境遇です。
思えば藤太にとって現在の境遇は不満はないのです。体制が変わるというのはリスキーでもあります。
そのリスクを冒してまで若い将門の革命を手助けするかどうかということでしょう。
そして役人を殺した罪人である藤太を社会復帰させた当時の政権は懐が広いというものでしょう。
藤太のみならず、将門も純友も懐柔して取り立てようとしていました。
将門も純友も懐柔には応じませんでしたが、藤太は政権への義理を優先して反乱を鎮圧しました。
殺さずに生かして活用するというのは実利があるのです。
そういう点から見ると、反対する者は問答無用に馘首してしまう現在の政権や大阪のヤンキー独裁は異常だと言えるでしょう。
物語のラストが第一話のアバンタイトルにつながる構成はうまい。
しかし、「将門は生きている」というのは、今聞くと負け惜しみのような感もあります。
しかし放送当時はまだまだ未来に希望を持つことができてリアリティあるフレーズだったのでしょうね。
現在の日本はこの番組の放送当時と比べて、国際的地位も政治も社会もモラルも比べようもないくらい劣化しています。
政治に至っては源経基(菅野忠彦)レベルやそれに劣る連中が政権を牛耳っています。
本来ならとっくの昔に豚箱に入っていなくてはならない犯罪者が次期首相の最有力候補として偉そうに妄言を垂れ流していること自体が日本のモラルの劣化を象徴しています。
これでは現在と未来に夢も希望も持つことはできず、「将門は生きている」というフレーズも空しく聞こえてしまいます。
まあ私ごときが何を言っても「蟷螂の斧」「小男の腕立て」「ごまめの歯軋り」でしょう。
私はこのドラマの登場人物で言うと、第11話で無謀な行動をして逮捕されてしまった紀豊之(綿引洪)あたりか?
今読み返すと紀豊之は「悪政に対して民の怒りが起きないのは、政府を宗教的に信仰しているからだ」と言っています。
それは第51話で貞盛が田原藤太を説得した時に言った仮説に通じるものがあります。
それを知ると紀豊之も行動こそ無鉄砲でしたが思考の方向性は間違ってはいなかったようです。その後はどうなったのでしょうか。
田原藤太のように許されて学問を続けていたらいいのですが。
“風と雲と虹と 第11回 餓狼の頭目”
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2020/04/19/164036
さて、主要登場人物でその後の消息が描かれていない人も多くいます。
平四郎将平(岡村清太郎)とかや(遠藤真理子)は、最初は良子一行と行動を共にしていたようですが、途中で別れたみたいです。若いので逃げのびた可能性が高いです。
平良文(渡辺文雄)や将門の母 正子(新珠三千代)はどうなったのでしょうか。
憎たらしい平良正(蟹江敬三)は途中でフェードアウトしてしまうし。
平良兼(長門勇)の遺児達は今回名前だけ登場。
貞盛の弟・繁盛(佐々木剛)はどうしたのでしょうか。
第27話では血気に逸って貞盛の裏切りのきっかけを作ったくらいなのに、いつの間にかフェードアウトしていました。
今回の合戦では藤太・貞盛軍の末席についていたのでしょうか。
そうだとしたら、4000の大軍が300に減った合戦で生き残っていたのかどうか心配です。
佐々木剛氏が多忙のため出演が難しかったのではないかと思って調べました。
風と雲と虹と 1976年1月4日から12月26日
宇宙鉄人キョーダイン 1976年4月2日から1977年3月11日まで
重なっていますが、どうなんでしょうか。
菅原景行(高橋昌也)もフェードアウト組。学者だから政治ごとには関与しなかったのでしょうか。
けら婆(吉行和子)は当初は京都で興行をやっていましたが、最後の方では興行は部下任せにしたのか引退状態でした。
そして藤原純友もまた、その後は不詳ということでした。
藤原純友もまた生きている。今もなお生き続けているのです。
風と雲と虹と NHK大河ドラマ・ストーリー
雑記帳
大河ドラマ『風と雲と虹と』第52回(最終回)「久遠の虹」
https://sicambre.at.webry.info/201007/article_28.html
戦国放題 こたつ城
「風と雲と虹と」8(47~52)
http://kotatu.jp/hyo/sakuhin/masakadozakki/47-52.htm
14風と雲と虹と76 過去ログ
『麒麟がくる』で考える社会と人生
毛利元就 過去ログ
新選組! 過去ログ
平清盛 過去ログ
wikipedia:風と雲と虹と
#平将門 #風と雲と虹と
ツタヤ
NHK大河ドラマ『平将門』『藤原純友』
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