私の持っている1982年第8刷と表紙が違うので内容も違うかも知れませんが
学研 物語日本史 第9巻 19頁~98頁
◆旅の詩人 北小路健 絵・秋野卓美
松尾芭蕉・与謝蕪村・小林一茶・良寛について、旅に焦点を当てて書かれています。
芭蕉が旅をしたことは有名ですが、他の3名も旅をしていたんですね。この旅をしたことが修行になったということでしょう。
蕪村は文人画から始まり独自の「俳画」というのを始めたという。
土地を巡って継母や異母弟と争った小林一茶の執念と悲しい人生や良寛のこだわらない無欲な人生についても代表的な俳句を紹介しながら描かれています。
例えば、「梅が香」を詠んだ芭蕉・蕪村・一茶の句が比べられています。
梅が香にのっと日の出る山路かな 芭蕉
梅が香の立ちのぼりてや月の暈 蕪村
梅が香やどなたが来ても欠け茶碗 一茶
本作品は俳人と旅という、子ども向けにしては少々渋いテーマです。本巻は他の巻に比べてタイトルのインパクトは弱いかもしれません。
しかし大人になってから読むとしみじみと良さが分かります。
著者の北小路健さんは学者ということですが、文学的な文章もなかなかうまいと思います。
『旅の詩人』が大人向けの本格的な小説として描かれていたら、ロングセラーになっていたかもしれません。
一方、子ども向けだからこそ大人が読んでも分かりやすく読みやすく面白いのだという面もあります。
私が言っても何の権威もありませんが、埋もれるには惜しい隠れた名作だと思います。
学研 物語日本史 第9巻 175頁~206頁
◆江戸時代の学問 北小路健 絵・岩田浩昌
江戸時代の学問というと、徳川綱吉やら湯島聖堂やら昌平坂学問所やら林羅山やらの儒学というイメージがあります。
ところがこの物語ではその辺のことには触れられていません。
この物語は江戸時代後半の学問事情について描かれています。
賀茂真淵がお伊勢参りに訪れた時に小児科医をしていた本居瞬庵先生が駆けつけてきた「松阪の一夜」に始まり、夢の中で本居宣長に会って弟子入りを認めてもらった平田篤胤など、国学の始まりについて述べた後、寺子屋や私塾や藩校に軽く触れ、最後は石田梅岩が心学を始めるまでが描かれています。
石田梅岩が試行錯誤して心学を広める過程は分かりましたが、心学そのものについては今一つ説明不足な感じがしてよく分かりませんでした。
石田梅岩の弟子に手島堵庵がいて、その弟子に中沢道二がいて、これらの方々は話すのがうまくて聴衆を集めた、と書かれていました。
その中沢道二翁が堺市で「心學道話」を試みた時に三千の大衆が集り、その由来で堺市の菅原神社には石田梅岩の銅像が置かれていて、堺市在住時には私もよく拝観していました。
●ブクログ
https://booklog.jp/item/1/4050516934
https://booklog.jp/item/1/4051504158
●読書メーター
https://bookmeter.com/books/7194723
文庫本カバーのイラスト(装画)とデザイン
秋野卓美(アキノ タクミ) 装画
https://www.bunkobon.club/entry837.html
ゆうゆうブログ
堺のえべっさん菅原神社には商売だけでなく学問や医薬の神様もいる!
https://www.yuyublog.net/entry/sugawarashrine
心学明誠舎
https://singakumeiseisha.com/
横溝正史の『獣人魔島』岩田浩昌/絵(偕成社こんな本もありました 6)
https://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/s/editor/edt_190123/
イノシシ猟と少年の成長を描く【木の国少年記】鈴木しんご
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2022/02/04/201434
↑この本の挿絵も岩田浩昌さんだった
観測所雑記帳
学習研究社『物語日本史』
http://stelo.sblo.jp/article/188714301.html
学研物語日本史9 浮世絵物語 北小路健
https://diletanto.hateblo.jp/entry/2025/04/21/062135
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