【黒い手帳】
パリの6階建ての安アパートの最上階でカジノのルーレットの勝ち方を研究する男とその研究の横取りを狙う4階の夫婦の争いに巻き込まれた5階の男(以上全員日本人)の体験談。
なぜか変な情念の世界に凝り固まった人々の悲喜劇です。
【ハムレット】
『ハムレット』上演中に転落事故を起こし昏睡の末意識は回復したが自分はハムレットだと思い込んでいる小松顕正の悲劇と復讐を太平洋戦争末期の社会状況を交えて描く。
語り手の祖父江は精神医学や心理学に造詣が深いので、それらの用語が頻出します。
【海豹島】
オホーツク海に浮かぶ孤島・海豹島の調査に派遣された樺太庁農林部水産課技師の恐怖の体験談。
海豹島とは実在の島で、オットセイ猟のために期間限定で人が滞在していたようです。
孤立した環境で働く男達の集団に一人の若い女性が加わるとどうなるか?
本作品には「スウェルドルップの告解」について言及されています。
孤島に漂流した男どもが殺し合いをするので原因である女性を殺してしまったという物騒な事件らしいのですが、検索すると青空文庫の本作品しか出てこないので久生十蘭の創作なんでしょうか?
日本には「アナタハンの女王事件」というのがありますが、それに先立つ1939年に発表された本作品もまた、恐ろしい作品です。
花子さんの行動もまた異常ですが、恐怖で洗脳されてしまったということなんでしょうか。
久生十蘭はウィキペディアには
「推理小説、ユーモア小説、歴史・時代小説、現代小説、ノンフィクションノベルなど多彩な作品を手掛け、博識と技巧的な文体で「多面体作家」「小説の魔術師」と呼ばれた」
「熱狂的な愛読者は「ジュウラニアン」と呼ばれることもある」
と記されています。
そう記されるだけあって、格調高く内容に深みがあるように思えます。
他の作品も読んでみたくなりました。
●ブクログ https://booklog.jp/item/1/4897845033
●読書メーター https://bookmeter.com/books/2543627
●kindleレビュー
【黒い手帳】
https://booklog.jp/item/1/B009MABJ2W
https://bookmeter.com/books/5638055
【海豹島】
https://booklog.jp/item/1/B009MABK08
https://bookmeter.com/books/5634295
トシの小説ブログ
久生十蘭「ハムレット」
http://rashi.cocolog-nifty.com/novel/2013/07/post-87c8.html
Perrier's 雑文書庫
久生十蘭「海豹島」「昆虫図」
http://perrierdiary.blog.fc2.com/blog-entry-4970.html
少年少女・ネタバレSALONO(ネタバレ注意!)
芦辺拓【地底獣国の殺人】ネタバレ検討会
https://sfklubo.blog.jp/archives/27029575.html
今まで「久生十蘭」と「久間十義」は親子だと思っていた
https://yorodzu.seesaa.net/article/466179704.html
三丁目の書生 の日々の覚え書き
神秘の足の裏「ツボ」健康法―足の相を見れば病気がわかる/久生十蘭(メモ)
https://yorodzu.seesaa.net/article/456405710.html

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