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■■菊池寛「恩讐の彼方に」050521〜050526
菊地寛です。芥川賞と直木賞を創設された方です。
文芸春秋社の創始者です。
それほど著名な方なのに、作品はほとんど読んだことはありませんでした。
『恩讐の彼方に』、格調高い、いいタイトルです。
しかし、ちょっと地味な感じがします。
私が子どもの頃よく読んでいた名作シリーズには、『父帰る・恩讐の彼方に』というタイトルの本がありました。
どちらのタイトルもあまり面白そうなイメージが湧かず、敬遠してしまいました。
そして、いかにも面白そうなタイトルである『坊ちゃん』『吾輩は猫である』『怪談』『小僧の神様』などを読んでいました。(『小僧の神様』は面白かったが、他の収録作品は確かに美しい名文でしたが、ストーリー自体は地味な作品が多かった)
小学生が本を読んでいて、そのタイトルが『恩讐の彼方に』というのだったら、何だか子どもらしくない、老成した、というイメージがあります。
こんなタイトルの本を読んで格好がつくのは、思春期の青年、そして定年後の世代でしょうか。
働き盛りの年代にとっては、「今さら遅すぎる」「ちょっと老けて見える」という、厄介なイメージのあるタイトルです。
まあこれは私個人のイメージの話ですが。
この作品、読ませます。スピード感・緊張感あふれる名作です。
タイトルからは地味でおとなしいイメージを受けますが、冒頭からして激しい刃傷殺傷事件が起こるし、その後蛇の道に入り、最後には仇討ちと和解に終わるという、見せ場の連続であります。
この物語の主人公(了海)は生きていくために犯罪を重ね、若い夫婦を殺した後に反省をし、改心して世のため人のために尽くします。
改心後の了海に助けられた人々は運がいいのだが、改心前の市九郎時代に犠牲になった人々は運が悪かった。
犠牲になった人々は、その後の了海の行動によって自らの運命を納得するのだろうか。
マイナス思考というか巡り合わせが悪いと思い込んでいる私は、市九郎に犠牲になるタイプの人間ではないかと思ってしまう。
了海上人がトンネルを掘るというエピソードは、実話をもとにしているそうです。
しかし、仇討ちのエピソードなどは、菊地寛の創作のようです。
因縁のある二人が困難な共同生活の後に和解するというドラマチックな展開に、『恩讐の彼方に』というタイトルはピッタリとはまっている。
子ども時代は地味だと思っていたタイトルですが、大きなドラマを感じるようになりました。
こんな感情が分かるというほどに成長したというべきか、年を取ったというべきか?
恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)
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