1年後に夢をかなえる読書術
弁護士事務所を独立開業するもクライアントが来なくて絶体絶命。母親から真顔で「死なないでね」と言われる。
そんな状態を救ったのは1冊の本。1400円の本を読んで7000万円の売り上げを上げた!
ネタバレをすると、タウンページ広告の書き方の本を参考にしてタウンページに広告を出したらお客さんが集まって来た、ということです。
今はタウンページ広告は当時ほど効果がなく、ネット広告の時代でしょう。
時代の移り変わりによって変わる部分もあるでしょうが、本質は応用の効く目覚ましい成功事例といえるでしょう。
その他にも、法律上の交渉術、ダイエット、出版の方法など、本を読んで実行して効果があった実体験について述べられています。
だから本を読めば夢がかなえられる、本を読みなさい、実行しなさい、という本です。
お説ごもっとも。
しかし、本を読んで実行すれば誰でも夢をかなえられるというのは言い過ぎでしょう。
本を読んでも夢をかなえることができない人がいるのは厳然たる事実です。
【検証1 読者の適性と限界の問題】
残念ながら、その典型例は私なのですが。
私は中学2年生の頃、速読術と短眠術の本を読み、すっかりそれに洗脳されてしまいました。
速読と短眠をマスターすれば人生が変わる、人生に成功する、と思い込み、類書が出れば買い集め、無駄な挑戦を繰り返しました。
速読に関しては単なるお金と時間の無駄に終わり、普通に本を読んでいた方がましだった、という程度の後悔で済みます。
悔やんでも悔やみきれないのが短時間睡眠です。
本に書いていた3時間や4時間は短すぎるので、5時間ならできるだろうと、5時間睡眠を目標に、何と10年間も無謀な挑戦を延々と繰り返しました。
この苦しみを抜ければ体が慣れてくるはずだ、と無謀な努力、報われない努力の無間地獄で10年間。
マトモな日常生活を送れるはずがありません。
結局、精神も身体もボロボロになり、人生に落伍し、今でも後遺症に悩まされ、御家も断絶の危機に直面しています。
本を読んで、そこに書いていることを実行すれば成功する、と書かれていますが、人にはそれぞれ適性があり、著者にできたことが読者全てにできるとは限りません。
例えば誰もがスポーツ選手や俳優やお笑い芸人になれるわけではありません。
同じ参考書や問題集をやっていても合格する人・不合格する人がいるのと同じです。
成功者の真似をすれば誰でも成功できるのなら、この世は成功者であふれているでしょう。
本を読んで実行しながら自分の限界を見極め、適性を試行錯誤していくのが理性的な方法ではないでしょうか。
間川さんは中学時代、「悪魔の記憶術」という本を読んで100個の英単語を1回で記憶することができたそうです。
これは右脳型記憶術ですね。
私も類書でやったことありましたが、私には合いませんでした。
こういった記憶術の本一つとってみても、実行してうまくできる人とできない人がいるのです。
皆さんも「悪魔の記憶術」に挑戦してみますか?
悪魔の記憶術―英語なら3日で1000語が覚えられる! (ムックの本)
【検証2 読者の環境・状況の問題】
適性の問題に続いて、次は、環境・状況の問題について考えてみます。
著者の間川清さんは弁護士事務所を開業していて、タウンページ広告を出したことで効果を実感されました。
本の効果のレバレッジがきく職業・状況だったのです。
ところが、地位のないしがない雇われ人だとか非正規・派遣の立場に甘んじていると、なかなかそういったレバレッジを実感できる状況にいないわけです。
軍隊に例えると、指揮官と最前線の兵隊さんの違い。
だから、そういった格差がついて転落する以前、社会に出る前に本を読んで実行し、レバレッジの効く職業に就くことが大事になってくるのです。
(後から気付いても遅いのですが。)
【検証3 間川清流・本の購入法を読んで格差社会を考える】
著者の間川清さんは、
「本を読めば成功できるから、大量のブックシャワーを浴びろ」
と書かれています。
実際、1日1冊の本を読んでおられるのだからすごい。
そして本の購入方法については、
行きつけの本屋を持つこと
1日に3軒の本屋に行くこと
アマゾンキャンペーンには必ず参加すること
著者、レーベルなど、無条件で買う本を決めておくこと
ジャケ買いすること
人に進められた本はその場でスマホを使ってネット書店で購入
……といったアドバイスをされています。
しかしこういった方法が可能なのは、読書にかけるお金が潤沢に使える成功者であって、時間もある程度自由に使える独立専門職の方だからでしょう。
私なんかも幸か不幸か独身なので比較的自由に本を購入できる立場にあります。幸か不幸か結婚することができれば、本なんか簡単に買えないと思います。
それでも一般的な勤め人はまだ恵まれている方で、強きを助け弱きをくじく極悪アベノミクスによって増えている非正規職の立場になると、本を買う金銭的余裕も書店に行く時間的・精神的余裕もなくなるのではないでしょうか。
しかも悪いことに、社会的立場が下がるにつれて、本の効果のレバレッジが効きにくくなっていくと思われます。
逆に言えば、一般社員<大会社の幹部<社長・経営者
と地位が上がるにつれてレバレッジが効きやすくなります。
しかし、レバレッジが効きにくい下位層であっても、やはり本を読んで実行すると、そこから抜け出せる可能性は、本を読まない状態よりは高くなると思います。
(やはり私は読書肯定派なのです)
……と、本を読んで夢をかなえることについて否定的なことばかり書いてきましたが、たとえ本の効果のレバレッジが効きにくい状況にあったとしても、本を読むことで、その状態を少しでも改善するヒントにはなると思います。
読まないよりは読んだ方がいいのは確実です。
もちろん、自分にできることかどうか、適性や限界を見極めることも含めての試行錯誤をすることが前提です。
しかし一番レバレッジがきくのは、まだ社会に出ていない学生時代でしょう。
私の学生時代は睡眠不足による心身の変調のため、うつ状態で引きこもり。(本を読むには精神的安定も必要です。)悔やんでも悔やみきれない。
【ハックツールについて】
本書では、幾つかのハックツールについて紹介されています。
エバーノートEvernoteで本を撮影して保存しておく、というハック。
確かに長い文章や図などでは書き写すより楽でしょう。
Toodletというtodoリストツールについても紹介されています。
確かに無料で使えて便利そうですが、グローバル企業のツールに私生活のことを書き込んで、個人情報は大丈夫なんでしょうか?
もう既にグーグルやツイッターに個人情報を把握されているから今更どうってことないか?
……ということで、【本を読めば夢をかなえることができるのか】という問題について考えてみました。
まあ
『5年後に夢をかなえる可能性が高くなる読書術』
というつもりでリラックスして読書するくらいがいいかと。
ご意見ご感想お待ちしております。
【アンケート実施中です!】
Q)本を読めば、夢をかなえられる可能性が高くなると思いますか?
(思う)(思わない)(その他)
http://blog.with2.net/vote/v/?id=125587
■[自己啓発]日本における速読術草創期の歴史(個人史・トラウマ・ルサンチマン含む)
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20100920/p1
■[健康]拒食症と拒睡眠症
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130428/p1
■[自己啓発]報われない奴はいる。間違いなくいる。
ただ成功した奴は、必ず努力をしている。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121121/p1
■[自己啓発]ビジネス書を巡る悲喜劇ドタバタドラマ
ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121215/p1
■[自己啓発]自己啓発書を活用する!突撃記
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121230/p1
■[自己啓発]「自己啓発修行」突撃記・速読編について
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20121230/p2
■[日々の哲学]歴史ポルノはオナホで自家発電するのと同じですよ
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■[自己啓発]いつも目標達成している人の読書術
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■[自己啓発]10分間リーディング VS 苫米地式速読法
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■[自己啓発]3冊同時に読む・エジソン脳活読書術
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130105/p1
■[自己啓発]アウトプット勉強法に見る読書マトリクス
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20130918/p1
ブクログ http://booklog.jp/item/1/4894514885
BOOK.asahi.com: http://book.asahi.com/book/9784894514881.html
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