この回について書くのは3日連続となってしまった。
昨夜、この回について考えていて、これは特記するべきだ、と思いついたことがあったので。
それは、斎藤一(オダギリジョー)のパフォーマンスについてのことです。
永倉新八(山口智充)や原田左之助(山本太郎)らが去った後、斎藤が旗を持って絶叫する。
集団でまとまって行動するのに警戒感がある私にとって、いかにも青春ドラマ、或いは体育会系的なノリのこういったパフォーマンスについてはしらける冷えた性格をしているので、このシーンについては黙殺するつもりだった。いかにも受けを狙ったようなシーンを入れたな、という
印象だった。(⇒⇒)
しかし、後から考えると、この行動はこの場面では絶対に必要な、必然的なシーンだと思い直したわけです。
状況的に厳しい局面を迎えた新選組に追い討ちをかけるように、古くからのメンバーでもあり、幹部でもある重要な二人が抜けたことで、近藤局長までが弱音を吐くほど、新選組として大きな打撃を受けた直後である。
この沈みきった状況から立ち直るため、誰かが思い切ったパフォーマンスをする必要があった。
その役目を果たしたのが、あの時の斎藤の行動だった。
斎藤が思い切ったパフォーマンスをしたおかげで、島田魁(照英)ら他のメンバーも元気を取り戻し、残った隊士の間に連帯感が生まれた。
そして斎藤は我に帰り、自分らしくないことをした、と当惑するような表情をする。
組織を守るために、必死で思ってもみない行動をとったと思われる。
組織を考える上で、このパフォーマンスは興味深い。組織の論理を実践した斎藤一は立派な組織人だ。
勿論、斎藤は今まで新選組のために色々な仕事をしてきた功労者であり、皆が認めていたからこそ、皆を一つにすることができた。
普段からいい加減にやっている者がここぞとばかり格好つけても皆を動かすことはできない。
必要な時に一番ふさわしい者が一番最適なことを行う組織はいい組織だと言えるのではないか。
逆に、ふさわしい者が行動を起こさなかったり起こせなかったり、ふさわしくない者がでしゃばったりする組織は悪い組織だと言える。
あと、永倉らが去った後で
「永倉さんは間違っている」
と切り出したことも注目したい。
もし永倉がいる時にこんなことを言っても、永倉を納得させられるかどうか分からない。後味の悪い結末を迎えることも考えられる。
永倉の意見や行動を尊重し、去った後から
「間違っている(そして正しいのは残ったのは我々の方だ)」
と切り出すことで、最大限の効果を上げている。
いや〜本当に色々と考えさせられるドラマですね〜。
『新選組!』をもっと楽しく観よう会 目次
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20041115