最終回「本能寺の変」
https://www.nhk.or.jp/kirin/story/44.html
前回、信長(染谷将太)に足蹴にされて絶体絶命の危機に陥った光秀(長谷川博己)!
しかし後に信長がフォロー。
「気にするな。家康の出方を見たまでじゃ」
家康(風間俊介)を牽制するために光秀を出汁に!部下の尊厳を考えていない無神経な行動です。
部下にも体面というものがあります。
いくら上司でもこういう行為は許されるものではない。
その後、信長と光秀は恐らく最後となるであろう長い会談を行います。
これは一気に放送されずに、細切れで回想シーンとして放送されました。
これは光秀の心の動きを強調するための描き方なんでしょう。
三谷幸喜さんならワンカットワンシーンの長回しで撮影しそう。
それはそれで緊張感あるシーンになりそうです。
この説得シーンで信長は
「戦が終わればよく眠れるぞ」
という意味のことを言います。
これで思い出したのは、大河ドラマ30作『信長 KING OF ZIPANGU』での明智光秀(マイケル富岡)のセリフ。
信長に酷使されて眠る暇もなかった光秀は信長を討った後、「これで眠れる」と言いました。
『麒麟がくる』では光秀はもとより、そのブラック上司である信長も眠れなかったようです。
ついに行動を決めた光秀は細川藤孝(眞島秀和)を呼んで相談。しかし藤孝の態度は批判的だった。
こういう事前の根回しは大切。表情や態度からこいつは当てにならんと察知しないといけません。
藤孝の言動は非常に分かりやすかったので察しやすいですね。
しかし、ポーカーフェイスで態度に表さない人もいるし、もっと大変なのは豊臣秀吉のように本心では思ってもいない態度を平気でできる人もいます。
細川藤孝は信長よりも足利義昭(滝藤賢一)が大嫌いのようで、信長より義昭を選んだ光秀を見限ったように思います。
しかし一時は親友関係になったのだし、今では縁続きにもなっていることを考慮すると、少々行動が冷たい。
親族の倫理としては、ここは親身になって光秀に説得するべきでしょう。
しかし今更自分が説得しても光秀と信長の仲は修復できないし光秀も引き下がらないだろうと見極めているのでしょう。見極めの速い人のようです。
しかしいくら見極めが速くても友人・縁続きとしては説得を試みるべきでは、少なくとも中立を守って秀吉に伝えるのは控えるべきでは、と思うのですよ私は。
まあ結局こういう冷徹になれる人が家を存続できるようですね。
もし自分が光秀や藤孝の立場になったらどうするか。
「わしを変えたのは光秀じゃ」
とは信長の弁。
しかし他人のせいにしているのは自分に甘いからですね。
自分が悪いのか他人のせいか、公平に見極めることが大切かと思います。
私はうつ病に罹患していた大学受験時代に某予備校の校長が書いた本で
「他人のせいにするな。全て自分が悪い」
とか書いてるのを感激して真に受けたために自虐的思考がエスカレートしてうつ病が悪化進行した経験があります。
だから軽々しく「自分が悪い」と言うことは気が引けるのですが、絶対的権力者である信長様には
「やっぱりあなたが悪いんですよ」
と批判しておきます。
「わしが間違うておると思うなら、この太刀でわしの首を刎ねよ。今すぐ刎ねよ」
と光秀が言うと3人の家臣は同意しました。
もし信長が家臣の前で同じことをすれば、光秀は果たして信長の首をはねたでしょうか。
そうする方が犠牲者も少ないし命令通りにしたまでなんですが。
そうする前に他の家臣達から阻止されるでしょうか。
そしてついに本能寺の変。
ドラマとしては見せ場だから少々長くなるのは分かりますが、現実はどうだったのでしょうか。
圧倒的兵力の差で奇襲しているのだから一気に片が付くと思いそうですが、現実には信長の死体を発見できなかったのです。
信長は槍で奮戦していました。槍は戦闘力ありますね。
斎藤道三は長刀の名人でした。
日本刀で戦うより長い槍や長刀の方が戦闘力は高いのではないでしょうか。
そして信長の長刀が敵の鉄兜を打った時に槍が折れます。
これ、普通は首の方が折れるのではないでしょうか。
兵士の頸椎は余程丈夫だったのでしょうか。
信長の死体を発見できなかったことは痛恨です。
本能寺は今の寺のイメージというより、ちょっとした城のようなものだったのでしょうか。
江戸時代以前の日本人は明治以後に西洋式の歩き方を取り入れた日本人とは違う歩き方・走り方をしていたという説があります。いわゆるなんば歩き・なんば走りです。
秀吉の大返しはナンバ走りで走っていたから早かったという説があります。
確かに中国大返しはすごいのですが、昔の日本人は徒歩でかなり遠くまで移動して合戦していたのだからすごいことです。
そもそも出不精の私にしてみれば丹波から本能寺までも非常に遠いというイメージがあります。
車や電車でどれくらいかかるのかという距離感なんですが、それを馬と人力で移動するというだけでもすごい。
現代人は昔の人に比べて体力的に退化しているのは確実でしょう。
当然、筒井順慶(駿河太郎)も他人のふり。
しかしそもそも今回のドラマでは筒井は松永久秀(吉田鋼太郎)とは犬猿の仲。
その犬猿の二人と仲が良い光秀は付き合い上手な人気者といった描き方だったのですが、見事に裏切られましたね。こんなことなら松永が反逆した時に同調していれば良かったのに。
まあ不満分子がバラバラに動いていては各個撃破されてしまいます。
やる時は連携して一気に行うことです。
勇気を出して声を上げた者に同調者が出ず見捨てられる。
これでは社会は良くならない……と、いじめや社会問題を絡めて思想を語ってしまうのは私の悪い傾向。
他の方の感想を読むと、皆さんドラマはドラマとして純粋に楽しんでおられるみたいですね。
それはともかく、「天の時・地の利・人の和」と言います。
光秀の政権掌握に当たって天の時・地の利には恵まれましたが人の和には恵まれなかったということでしょうか。
そんな偉そうなこと言ってる私も人の和が一番苦手なものです。
後世に生きる我々の今後の教訓になれば明智光秀も少しは浮かばれるのではないでしょうか。
天王山の合戦で光秀が負けてから秀吉が主導権を握るまでの暗闘は三谷幸喜『清須会議』で描かれています。
結局、徳川家康(風間俊介)が麒麟だったという風に描かれていました。
確かに今回のドラマを見ていれば豊臣嫌い・徳川びいきになりそうです。
しかし関ケ原合戦から大坂城合戦にかけての過程を見ると、豊臣びいき・アンチ徳川なんです。
私はどうしても負けた方に肩入れしてしまいます。
終わり方について、光秀の死についてぼかしたように終わらしたのはうまいと思います。
視聴者の想像に任せると広がりや永続性が残ります。
……と評判が良ければ、今後の大河ドラマが全部こんな風に終わってしまったりして。
なお、私は最後の光秀の乗馬シーンは、回想シーンだと解釈したのですが。
ということで最終回でした。
先に述べたように私の書く物には自分の思想や解釈が濃厚に出てしまうので、余計なもの読ませて申し訳ありません。
「麒麟がくる で考える社会と人生」という副タイトルが付いているということで勘弁下さい。
最後に強烈な思想演説をしますので、うるさいと思う方はここでお別れ下さい。
さて、日本の歴史上、織田信長は非常に人気が高い。一方で明智光秀は裏切り者というイメージがついています。
やはり主君を討つというのはイメージが悪い。
しかし、信長がやっていたパワハラモラハラはどうなのでしょうか。
部下が主君を討つのは悪いが主君が部下にパワハラモラハラを行うのは許される、というのは支配階級にとって非常に都合の良い思想です。
この思想は戦前の軍国主義時代から敗戦を経て現代までも生き続けています。
旧日本軍もその倫理で動いていました。
こんなこと言っては国士様から嫌われますが、自衛隊でもいじめについての裁判が行われています。
体育会系クラブはその再生産です。少し前、某大学の運動部でパワハラ騒動が起こりましたが、首相の例に倣って誰も責任を取りませんでした。
織田信長が明智光秀より人気がある世の中では、日本はまだまだ民主主義が根付かずブラック企業ものさばり続けるのではと思います。
その意味で、明智光秀を主人公とした今回の大河ドラマは非常に良かったと思います。
同じキャストとスタッフでその後を見たい、できれば徳川幕府成立まで見たい、大河史上初の続編を見たいと思ってたのですが、再来年は別の世界観で徳川家康をやるようですね。
『風と雲と虹と』と『麒麟がくる』の共通点!……?
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麒麟がくる「最終話 本能寺の変 感想 世を平らかにする覚悟に果てなし」 - 肝胆ブログ
大河ドラマ『麒麟がくる』第44回(最終回)「本能寺の変」: 雑記帳
「家康や正親町天皇など周囲の人物からの期待を受けて信長を討ったものの、その直後に討たれた光秀には、周囲の期待を受けて内部告発をしたものの、その後は不遇だった、というような現代社会の理不尽も感じさせ、そこに感情移入した視聴者もいるかもしれません」
“清須会議 二大陣営の駆け引きを描く政治劇”
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“大空港2013 蔵之介伯父さんの見せ場”
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“1かける3が3以上の相乗効果!無駄に高品質 三谷幸喜「short cut」”
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『麒麟がくる』で考える社会と人生
14風と雲と虹と76
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